フランスで建設中の「Fécamp offshore wind farm」。採用されている基礎構造は重力式という少し珍しいタイプ。着床式洋上風車の場合、モノパイルかジャケット式のものが多い中で重力式。日本の千葉県銚子沖にある洋上風車も重力式でしたね。
「Fécamp offshore wind farm」
フランス北部、イギリス海峡に面したフェカン(Fécamp)の沖合で建設されている「Fécamp offshore wind farm」。
特徴的な重力式基礎の形状は、円錐形で底の部分が直径31m、高さは48m~54m。重量は5,000トン。
製作は2020年12月にフランスのル・アーブル(Le Havre)で始まり、2022年に入ってから最初に設置するユニットが完成している。
製作場所には16台のタワークレーンがあり、8時間の3交代による24時間体制で1,000人以上の人が製作に携わっているそうです。5,000トンの重力式基礎71基の製作ですからビッグプロジェクトですね。例えば、日本で5,000トンのケーソン71函製作工事だと10年以上に小分けして分割発注になるレベルでしょう。
71基の重力式基礎設置を行うのは、14,000トン吊り起重機船「Saipem 7000」。製作場所から設置場所までは台船に載せて曳航。設置エリアで台船上から「Saipem 7000」で水切りして設置という流れ。
2022年6月30日に1基目の重力式基礎が台船に搭載されました。
搭載された台船は「CASTORO XI」。設置を行うSaipemが所有する台船、全長150m、幅40m、深さ9m、総トン数 15,400トン、載貨重量トン 29,469トン。
輸送台船に重力式基礎の搭載が始まっているので現地での設置も近いと思われます。ということで、設置を行う「Saipem 7000」の現在位置を捜索。
「Saipem 7000」の現在地は「Fécamp offshore wind farm」の南西で建設中の「Saint-Brieuc offshore wind farm」でした。ここの作業を終えてから「Fécamp offshore wind farm」に行きそうですね。
「Saint-Brieuc offshore wind farm」では、SEP起重機船「Aeolus」がジャケット式の風車基礎と変電設備の先行杭打設、自航式クレーン船「Seven Borealis」が風車基礎のジャケット設置、そして「Saipem 7000」が変電設備のジャケットとトップサイドを設置する予定。
AIS情報では、3隻とも「Saint-Brieuc offshore wind farm」にいました。
「Saipem 7000」による「Fécamp offshore wind farm」の重力式基礎の設置と「Saint-Brieuc offshore wind farm」の方も変電設備設置の情報が入ればお伝えします。
少し気になったのが「Fécamp offshore wind farm」紹介動画に出てくる変電設備の設置シーン。イメージなんでしょうけど、設置に使用されているクレーン船はDEMEの「Orion」。気になる方は見て下さい。工事全体の紹介動画なので他の部分も分かり易くつくられてます。
動画のリンク先 YouTube | Parc éolien en mer de Fécamp
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