ノルウェーで浮体式洋上風力向けの生産施設を開発
Implenia and WindWorks Jelsa agreed to develop a production facility in Norway for Europe’s growing floating offshore wind industry
(Implenia と WindWorks Jelsa は、ヨーロッパで成長を続ける浮体式洋上風力産業向けにノルウェーに生産施設を開発することで合意した)
https://implenia.com/en/media/news-article/implenia-windworks-jelsa-vereinbarung/
2023年8月15日、ノルウェー企業の WindWorks Jelsa とスイスの建設会社 Implenia は、浮体式洋上風力向けとなる生産・組立施設を開発するための出資および株主間協定を締結したと発表した。
浮体式洋上風力生産施設の開発プロジェクトは、ノルウェーの Jelsa という場所で2023年から2032年にかけていくつかの段階に分けて建設がおこなわれる予定。80万m2という広大な生産・組立エリアには製造した浮体基礎専用に設計された進水システムや重量物の取扱が可能な岸壁などが整備され、浮体基礎の製造・進水から上部の風力タービン設置まで一連の製造工程をおこなうことが出来るという。
完成すると年間70基の浮体式洋上風力タービン生産・組立が想定されており、出力ベースでは年間1GWの製造が可能になる。
浮体式洋上風力基礎のなかでも、コンクリート製の浮体基礎製造に焦点を当てており、コスト効率の良い連続生産を実現するための開発に力を入れている。そのため、生産施設の中には生コンを製造するバッチャープラントも建設予定。完成イメージの画像から建設予定地をGoogleマップで探索してみると、採石場でした。
一連の工程を同じ施設で施工できるメリット
ノルウェーに建設予定の生産施設では、同一の場所で浮体基礎の製造・進水から風力タービン搭載まで施工が出来るという特徴があります。この特徴は、かなり大きなメリットになる。
ノルウェーのフィヨルドという海岸特性を活かした施設ともいえる。フィヨルドでは湾・入り江の幅はあまり変わらず平面的には細長い形状で、海岸線は断崖絶壁となるものが多く、そのまま水面下にも続くため水深が深いという特徴を持つ。
施設完成イメージでは、左側のヤードでセミサブ型、右側のヤードでスパー型の浮体を製造しているように見えます。セミサブ型であれば、浮体基礎の平面的な寸法を満たす造船所のドックでも建造は可能ですが、スパー型となると浮体基礎の喫水が大きくなるため製造場所が制限されるという問題がある。
「Hywind Tampen」では3カ所で製造・組立
実際に施工がおこなわれているノルウェーの浮体式洋上風力「Hywind Tampen」では、浮体基礎にスパー型を採用。ですが、浮体製造・風力タービン搭載という作業で3カ所を転々としながら製造・組立をおこなっています。
日本では横に倒した状態で製造 → 水深の深い場所で進水
出典:Youtube | ANNnewsCH
長崎県五島市沖で建設中の「五島市沖洋上風力発電事業」では、福江港のヤードで横倒しの状態でスパー型の浮体基礎を製造し、半潜水式スパッド台船「フロートレイザー」に積んで水深の深い場所に移動して進水。その後、浮体基礎を建て起こして上部の風力タービンを搭載するという手順で施工がおこなわれています。これはこれで、日本の地形を考慮し、非常に工夫された良いアイデア。
そういえば不具合が公表されて以降、続報が無いので状況がよく分かりませんが浮体の再製作をやっているんでしょうか。稼働開始時期についても関係各機関と協議したのち決定後に公表するということだったので、まだ未定ということなのか。
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