ノルウェーの資源調査会社PGSが、ヨーロッパで開発段階にある2つの洋上風力発電サイトを対象とした超高解像度風力発電サイト特性評価プロジェクトを受注。2023年4月上旬には3D物理探査船を動員し、6月末には完了する予定。
ノルウェーの資源調査会社PGSが洋上風力市場に参入
2023年1月25日、ノルウェーのオスロに本社を置くPGS (Petroleum Geo-Services)は、ヨーロッパで開発段階にある2つの洋上風力発電サイトを対象とした超高解像度風力発電サイト特性評価プロジェクトを受注したことを発表。2023年4月上旬には3D物理探査船による作業を開始し、6月末には完了する予定。
3D物理探査船を使用する今回のプロジェクトでは、超高解像度3D(UHR3D,ultra-high-resolution 3D)Pケーブルシステムが採用され、従来の物理探査システムと比較して、水深の浅いターゲットに対して非常に詳細な地質データを提供することが出来るそうです。
3次元物理探査船について
3次元物理探査船は、効率よく海底資源の物理探査を行うために考案され、海底下の地質構造を立体的に調査することで石油・天然ガスの存在やポテンシャル(有望性)を評価するために利用されてきました。
具体的な調査方法としては、船尾に設置されたエアガンと呼ばれる装置から海底に向けて音波を発し、海底面や地層の境界に当たって反射した音波を、船から引っ張るケーブル(ストリーマーケーブル)に設置したセンサーで受振し、地下データを取得するというもの。取得したデータを処理することで、地下構造を立体的に解析することが出来る。
超高解像度3D Pケーブルシステム
3次元物理探査船は、石油や天然ガスを対象とした海洋資源探査の分野で広く用いられてきましたが、従来型の3次元探査システムでは、沿岸部など水深の浅い海域での適用が難しいという問題がありました。
洋上風力発電サイトを対象とした今回のプロジェクトでは、沿岸部での超高解像度3D Pケーブルシステムが使用される予定で、従来型の3次元探査システムに比べ軽量・小型・高分解能という特徴があり、水深の浅い海域での適用が可能。
PGSのウェブサイト掲載情報によると、従来の洋上風力発電サイトでの調査は2D探査によるデータ取得が行われていましたが、表層地質が複雑な場合に確実な把握が困難で再度データ取得が必要になるなど、解析時間やコストが増加するリスクがあるそうです。その点、超高解像度3D Pケーブルシステムでは少しコストは高くなる可能性がありますが、洋上風車設置に必要な地質条件の把握がより正確に可能になるという。
PGSが保有する探査船の3割以上は日本の造船所で建造
PGSのウェブサイトに掲載されている探査船は11隻。
その中でも2013年以降に建造した4隻はすべて日本の造船所で建造されている。実に3割以上。
ここにも日本の先人達の技術力があった。
船名 | 長さ | 幅 | 深さ | 建造年 |
---|---|---|---|---|
Ramform Titan | 104.2m | 70m | 14.2m | 2013年 |
Ramform Atlas | 104.2m | 70m | 14.2m | 2014年 |
Ramform Tethys | 104.2m | 70m | 14.2m | 2016年 |
Ramform Hyperion | 104.2m | 70m | 14.2m | 2017年 |
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