SEP船「Wind Orca」アップグレード完了
CadelerはオランダのスヒーダムでおこなっていたSEP起重機船「Wind Orca」のアップグレード作業が完了したことをLinkedInへの投稿で発表しました。
昨年10月に作業を開始し、5ヶ月間におよぶアップグレードを終えて、SEP起重機船「Wind Orca」の吊り上げ能力は1,200トンから1,600トンへ増強。
「Wind Orca」は早速、パワーアップしたクレーンでの初作業に向けて、3月15日にオランダのスヒーダムを出港し、3月18日にデンマークのエスビャウ港へ入港。来月4月に開始が予定されている「Moray West offshore wind farm」での風力タービン設置準備がおこなわれているようです。設置予定の風力タービンはSiemens Gamesa製の「SG 14-222 DD」。
揚程160m、20MWの風力タービン設置が可能に
アップグレードによるクレーンの載せ替えによってSEP起重機船「Wind Orca」の揚程は132mから160mへ増加。20MWの風力タービン設置が可能になったそうです。
船名 | Wind Orca |
クレーン能力 | (メインフック)1,600トン (補助フック)425トン |
揚程 | 160m(甲板上) |
長さ | 160.9m |
幅 | 49.0m |
深さ | 10.4m |
レグ長さ | 105m |
最大作業水深 | 60m |
ジャッキアップ 最大積載重量 | 11,000トン |
スラスター | (船尾)アジポッド 3.4MW×4 (船首)格納式アジマス 2.2MW×2 (船首)トンネル 2.2MW×2 |
速力 | 13ノット |
甲板スペース | 4,300m2 |
甲板強度 | 15t/m2 |
DPS | DP2 |
風力タービン設置に特化した作業船であるSEP起重機船にとって吊り上げ能力と同等、もしくはそれ以上に重要になってくるのが揚程。最近の新造船およびアップグレードしたSEP起重機船では、ほとんどが甲板上160m以上の揚程をもつクレーンを搭載している。
中国では揚程180m以上というSEP起重機船も建造されています。日本のSEP起重機船は現状、甲板上からの揚程が160mを超えるものはいません。風力タービンの大型化が続く限り、施工をおこなうSEP船の方も新造船を建造するかアップグレードによって対応する必要がある。
船名 | 最大吊り上げ能力 | 揚程 |
---|---|---|
中天31 | 1,600トン | 183m |
海峰1002 | 1,800トン | 180m |
华夏金租神大01 | 1,200トン | 175m |
Voltaire | 3,200トン | 162.5m |
BLUE WIND | 2,500トン | 158.5m |
CP-16001 | 1,600トン | 143m |
SEP起重機船 世界ランキング
スペックとして公表されているものについては揚程も記載しています
「Moray West offshore wind farm」の概要
「Moray West offshore wind farm」は、EDP Renewables と Engie の合弁会社 Ocean Winds および Ignitis Group によって開発されており、Siemens Gamesa「SG 14-222 DD」60基、洋上変電所2基の設置を計画している。変電所2基を含むすべての基礎は、モノパイルを採用。総発電容量は882MW、風力タービンの単機出力はパワーブーストにより14.7MWへ引き上げられる予定。
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