5,000トンのモノパイルを設置するSEP船「Vitruvian」

5,000トンのモノパイルを設置するSEP船「Vitruvian」 洋上風力発電

 スペインに拠点を置くWinDecomは、最大重量5,000トンの次世代XXXLモノパイルを設置するための新しいSEP船の設計を発表。Arcadis Ost Iで5,000トン吊りクレーン船「Orion」が設置したモノパイルで重量2,000トンでしたが、その倍以上という5,000トンのモノパイルが必要になる時が来るのでしょうか。まずそこに驚き。計画されているということは可能性あるからなんでしょうね。

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SEP船「Vitruvian」

出典:WinDecom

 スペインのバルセロナに拠点を置くWinDecomは、最大重量5,000トンの次世代XXXLモノパイルを設置するための新しいSEP船の設計を発表。建造費用は2億5千万ドル未満、日本円で357億5千万円未満(1ドル=143円として換算)に抑えて生産する計画だそうです。

WinDecom Presents Installation Solution for 5,000-tonne XXXL Monopiles

(WinDecomは、5,000トンのXXXLモノパイルのインストールソリューションを提示)

WinDecom Presents Installation Solution for 5,000-tonne XXXL Monopiles | Offshore Wind

 WinDecomのウェブページを見ても当該情報については発表されていません。2022年2月にWinDecomという名称に変更されましたが、以前はOffshoreTronicという名称でした。

特徴は揚重しない

 引用した記事によると、「Vitruvian」と名付けられた新しいSEP船は、5,000トンのXXXLモノパイルを輸送して設置することができる。設計されている他の設置船は、巨大なモノパイルを揚重して設置するというリスクがある方法で計画されているが、「Vitruvian」はヤードで積み込みする時から揚重しない。SPMT(Self-Propelled Module Transporter)と呼ばれる重量物運搬車両を使用してモノパイルを水平に保ったまま積み込みを行う。

MAMMOETのSPMT(Self-Propelled Modular Transporter)
出典:MAMMOET

 積み込んだ後の設置については記載が無いようでしたが、見た目が「Pioneering Spirit」に似ているので同じような方法で建て起こして設置するのは想像できます。ただ、気になるのはクレーンが無いのでモノパイルを建て込んだあとに打ち込む時はどうするんでしょう。画像でも油圧ハンマーは積まれていますが、現状の設備だけではどうやって施工するのか不明。

モノパイルの大きさを表すXL、XXLって何?

 いつも気になっていましたが、”XLモノパイル” とか ”XXLモノパイル” って何なんだろう?大きいんだろうなというのは想像できますが、正確には分からないままぼんやりと理解していましたが、規格があるようです。統一された規格ではないかもしれませんが参考までに。調べたものはモノパイルの直径で選別されていました。

名称モノパイルの直径
通常のモノパイル5m~6m
XLモノパイル6m~8m
XXLモノパイル8m~11m
XXXLモノパイル
又は
メガモノパイル
11m以上
モノパイル名称について
出典:Bladt IndustriesのHP

「Vitruvian」という船名の由来

 「Vitruvian」は、古代ローマ時代の建築家マルクス・ウィトルウィウス・ポッリオ(Marcus Vitruvius Pollio)の名前が由来だと思われる。紀元前に生きた方で、現存する最古の建築理論書であり、ヨーロッパにおける最初の建築理論書でもある「建築について」(De Architectura、建築十書)を著した。この「建築について」の記述をもとに、レオナルド・ダ・ヴィンチが1485~1490年頃に描いたドローイングである「ウィトルウィウス的人体図」は有名、みなさんも一度はどこかで見た記憶があるのでは?

レオナルド・ダ・ヴィンチが書いた「ウィトルウィウス的人体図」

 なぜ「Vitruvian」という名前にしたのかはよく分かりません。

自航式クレーン船「Sustainable Installer」

自航式クレーン船「Sustainable Installer」
出典:Offshoretronic

 以前、まだ名称がOffshoreTronicだった時に発表された4,000トン吊りクレーンを2基搭載したDP3搭載の自航式クレーン船「Sustainable Installer」。こちらは揚重するクレーンが搭載されています。

船名Sustainable Installer
長さ236m
56m
喫水11m
クレーン能力4,000トン×2基
タンデム:6,000トン
DP区分DPS 3 DYNPOSAUTRO
速力12ノット
「Sustainable Installer」の概要

 自航式クレーン船「Sustainable Installer」の作業イメージ動画。2本目の動画に出てくるサクションパイル基礎の中央にモノパイルを突き刺す施工方法は画期的かも。

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