5,500トン吊り連装ジブ起伏式起重機船建造プロジェクトの調印式
2023年5月23日、上海振华重工(ZPMC)は中交第二航务工程局有限公司向けとなる5,500トン吊り連装ジブ起伏式起重機船建造プロジェクトの契約調印式を行ったと発表した。
近年、中国では洋上風力向けのSEP船や自航式大型クレーン船などを多く建造していますが、旋回式ではなく固定吊りの起重機船建造は珍しい。最大吊り上げ能力5,500トン、ジブを2本搭載している船体形状は日本の大型起重機船と似たものであることが想像できる。最大揚程は130m、日本最大の4,100トン吊り起重機船「海翔」の揚程は最大132.7m(前フック)なので同程度。
先日、同じ上海振华重工(ZPMC)で建造が開始された5,000トン吊り起重機船は、同じ固定式ですがジブは1本、さらに自航式でDPSを搭載しており主に洋上風力発電設備のジャケット基礎や洋上変電所の設置作業を見込んで建造されていますが、5,500トン吊り連装ジブ起伏式起重機船は、主に橋桁などの橋梁架設で使用される予定だという。
起重機船航行時の水面上高さ47m
吊り上げ能力の他に大きな特徴として挙げられているのが、起重機船航行時の水面上高さを47mに抑えることができるという点。通航できる橋が増え、作業できるエリアが広がるメリットは大きい。船体の喫水は小さくなるように抑えられて設計され、詳細は不明ですが浮力補助技術を利用するとさらに喫水を小さくすることが可能で水深の浅い海域でも航行が出来るという。
日本TOP3の大型起重機船3隻について比較のためにジブを倒して航行した時に水面上から最も高くなるバックステーの高さを調べてみました。「海翔」は甲板上からの数値で48.8m、「武蔵」の方は不明だったので船体寸法から推定すると48m。「第50吉田号」は特長のひとつでもあり飛び抜けて低い30mという高さ。
こうして見るとそこまで言うほどの特徴では無いような気もする。
船名 | ― | 海翔 | 武蔵 | 第50吉田号 |
クレーン能力 | 5,500トン | 4,100トン | 3,700トン | 3,700トン |
水面上高さ | 47m | 48.8m | 48m(推定) | 30m |
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