韓国のKOCECOが洋上風力設置船5隻の傭船に向けMOU締結
韓国のKOCECOは、中国の江蘇中天科技股份有限公司と洋上風力向け設置船5隻の傭船に関する覚書（MOU）を締結。傭船する5隻の洋上風力向け設置船は、1,600トン吊りSEP船「中天31」、600トン吊りSEP船「中天7」「中天8」というSEP船3隻に加えて、5,000トン吊りクレーン船「中天39」、1,600トン吊りクレーン船「中天9」。
SEP船「中天31」、クレーン船「中天39」に注目
出典：江苏中天科技股份有限公司
傭船対象5隻のなかでも注目なのは、2023年8月に完成・引き渡しされたばかりの1,600トン吊りSEP船「中天31」と5,000トン吊りクレーン船「中天39」。
SEP船「中天31」は、引き渡しから僅か1ヶ月後の9月に広東省恵州市の沖合で建設している中広核恵州港口洋上風力発電プロジェクトで出力14MWの風力タービンを設置しています。設置した14MW風力タービンのローター直径は252ｍ、ハブ高さは149.7ｍ。しかし、SEP船「中天31」の揚程はメインフックで甲板上165ｍ、補助フックで甲板上183ｍという驚異的な能力があり、ローター直径320ｍ程度が想定される20MWの風力タービン設置が可能。
5,000トン吊りクレーン船「中天39」は2024年1月に海上公試完了のアナウンス以降、完成・引き渡しの情報が出ておらず、中国船級社にも登録されていないので引き渡しはまだおこなわれていないと思われれる。能力的には固定吊り5,000トン、旋回吊り3,500トンに加えて4,000m2の甲板スペースやDP1のDPSを搭載しており、モノパイルやジャケットなど15MW以上の風力タービン基礎や洋上変電所の設置が期待されています。
| 船名 | 中天31 （Zhong Tian 31） |
| クレーン能力 | 1,600トン |
| 最大揚程 | (主)甲板上165m、1,600トン吊り (補助)甲板上183m、500トン吊り |
| 長さ | 139.1m |
| 幅 | 50m |
| レグ長さ | 不明 |
| 最大作業水深 | 70m |
| 船名 | 中天39 |
| クレーン能力 | 固定:5,000トン 旋回:3,500トン |
| 揚程 | 甲板上120ｍ |
| 長さ | 215ｍ |
| 幅 | 51.8ｍ |
| 深さ | 19ｍ |
| 甲板スペース | 4,000m2 |
| 甲板強度 | 15トン/m2 |
| 設計速力 | 9ノット |
| DPS | DP1 |
傭船対象の洋上風力向け設置船5隻
出典：江苏中天科技股份有限公司
出典：江苏中天科技股份有限公司
出典：江苏中天科技股份有限公司
出典：江苏中天科技股份有限公司
| 船名 | 船種 | クレーン能力 | 長さ | 幅 | レグ長さ （最大作業水深） | 建造年 | 記事リンク先 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 中天39 | クレーン船 | 5,000トン | 215ｍ | 51.8ｍ | ― | ― |  |
| 中天31 | SEP起重機船 | 1,600トン | 139.1ｍ | 50ｍ | 不明（70ｍ） | 2023年8月 | |
| 中天9 | クレーン船 | 1,600トン | 102ｍ | 39.6ｍ | ― | 2018年12月 | |
| 中天8 | SEP起重機船 | 600トン | 106ｍ | 38.4ｍ | 85ｍ（50ｍ） | 2019年1月 | |
| 中天7 | SEP起重機船 | 600トン | 106ｍ | 38.4ｍ | 85ｍ（50ｍ） | 2018年12月 |
洋上風力に関する中国船の傭船、韓国では大宇建設に次いで2件目
韓国企業による中国の洋上風力向け設置船 傭船に関する動きは今回が初めてではない。2024年2月1日、韓国の大宇建設（Daewoo Engineering & Construction）は中国の中交天津航道局（CCCC Tianjin Dredging）と現在建造中の1,800トン吊りSEP起重機船「港航平5」について5年間の韓国国内独占使用に関する覚書（MOU）を締結しています。
近い将来、日本でも同じようなことが起こってしまうのでしょうか。
| 船名 | 港航平5 |
| クレーン能力 | 1,800トン |
| 揚程 | 168ｍ(甲板上) |
| 長さ | 133ｍ |
| 幅 | 50ｍ |
| 深さ | 11ｍ |
| レグ長さ | 不明 |
| 最大作業水深 | 70ｍ |
| DPS | DP2 |
出典：DAEWOO ENGINEERING & CONSTRUCTION Co., Ltd.
