火災で損傷した「フリーマントル・ハイウェイ」中国へ輸送開始
2024年10月15日、Boskalisは火災により損傷した自動車運搬船「フリーマントル・ハイウェイ」(FREMANTLE HIGHWAY)を中国へ輸送するため、オランダのロッテルダムで半潜水式運搬船「BOKA Vanguard」へ搭載したことを明らかにしました。
自動車運搬船「フリーマントル・ハイウェイ」の船名は「FLOOR」に変更されており、BoskalisがLinkedInへ投稿した船体を搭載する動画内でも変更された船名「FLOOR」を確認できます。
自動車運搬船「フリーマントル・ハイウェイ」で火災が起きたのは、2023年7月25日夜。火災は6日間以上続き、8月1日に鎮火が確認され、オランダのエームスハーヴェンに入港。そこで貨物として積まれていた車両の搬出や事故調査がおこなわれた後、2023年9月21日にエームスハーヴェンを出港し、ロッテルダムへ。オランダのロッテルダムにある造船所Damen Verolme Rotterdamではドックに入渠し、損傷した部分の船体撤去や清掃、検査などがおこなわれていました。
2024年8月には、中国の青山船廠(Qingshan Shipyard)が船体を買収して新たな所有者となり、輸送先の福建省廈門市で再建作業をおこなう予定だと報じられていたので、既に輸送は開始されているのかなと思っていましたが、まだだったようです。自動車運搬船「フリーマントル・ハイウェイ」の再建作業については、欧州廃棄物輸送規制(European Waste Shipment Regulation)の対象に該当することからオランダ当局は当初、中国への輸出を禁止していましたが、最終的には輸出許可がおりて船体を中国へ輸送する準備が進められていました。
事故発生から1年以上が経過しましたが、事故に関する最終報告書はまだ公表されておらず、事故原因についても公式な見解は示されていない状態。火災による船体損傷は上半分に集中しており、上層の貨物エリアに積まれていた車両に火災が集中。下層エリアの車両はほぼ無傷で、下層エリアに積まれていたのは大部分がEV車(Electric Vehicle、電気自動車)だったという。
火災の発生元だけを考えるとEV車が原因ではない可能性は高そうですが、何らかの原因で火災が発生した場合、EV車に搭載されているリチウムイオン電池が起因して鎮火が困難であることや、再発火のリスクが指摘されているのは事実。そのため、火災発生後にEV車が延焼したことで火災の規模が大きくなった可能性は高い。
変わり果てた姿の自動車運搬船「フリーマントル・ハイウェイ」
出典:Kustwacht Nederland
出典:Boskalis
半潜水式運搬船「BOKA Vanguard」へ搭載された自動車運搬船「フリーマントル・ハイウェイ」は、まるで別の船のように見える程、変わり果てた姿になっていました。火災により延焼した部分が撤去されており、ほとんど影響を受けなかった船体下層部分と煙突が残った状態。
貨物重量は17,000トン
Boskalisの情報によると、自動車運搬船「フリーマントル・ハイウェイ」の貨物重量は17,000トン。全長約200mという「フリーマントル・ハイウェイ」を搭載した半潜水式運搬船「BOKA Vanguard」は全長275m。オーバーハングすることなく余裕で積み込み出来ています。
半潜水式運搬船「BOKA Vanguard」のAIS情報を確認すると、ローゼンブルフのカラント運河で搭載作業を終えたあと、10月18日にマースフラクテ(Maasvlakte)へ移動していました。中国への輸送に向けた固縛作業を引き続きおこなっているのか、輸送に向けた手続き中もしくは日程調整中なのかはよく分かりませんが、10月19日時点ではまだ出港していません。
出典:MarineTraffic
半潜水式運搬船「BOKA Vanguard」
船名 | FREMANTLE HIGHWAY |
船種 | 自動車運搬船 |
総トン数 | 59,525トン |
長さ | 199.97m |
幅 | 32.26m |
建造年 | 2013年12月 |
建造場所 | 今治造船 |
出典:FleetMon | Portbury
半潜水式運搬船「BOKA Vanguard」
出典:Boskalis
船名 | BOKA Vanguard |
載貨重量トン | 116,175トン |
長さ | 275.0m |
幅 | 78.75m |
深さ | 15.5m |
最大デッキ深度 | 15.5m |
建造年 | 2012年 |
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