米ロングビーチでコンテナ船「Mississippi」からコンテナ75個転落

2025年9月9日午前9時ごろ(現地時間)、アメリカの西海岸に位置するカリフォルニア州南部のロングビーチでコンテナ船「Mississippi」に積まれていたコンテナが崩落する事故が起きた。
ロングビーチ港湾局(Port of Long Beach)が9月10日に発表した情報によると、ロングビーチ港内の桟橋
G(Pier G)でコンテナ船「Mississippi」のコンテナ崩落が始まったのは、9月9日午前8時48分。事故当時、コンテナ船「Mississippi」には2,412個のコンテナが積まれており、そのうち推定75個のコンテナが海上に落下。事故に関連して軽傷が1件報告されているものの、重傷者は出ていないという。
コンテナ崩落時、コンテナ船「Mississippi」には排出ガス回収バージ(emissions-capture barge)と呼ばれる作業船「Stax 2」が接舷して作業していた。複数のコンテナが排出ガス回収バージ「Stax 2」に落下したことで損傷。「Stax 2」の燃料タンクには約2,000ガロン(約7,570リットル)のリニューアブルディーゼル(renewable diesel)が積まれていて、流出(流出量不明)が確認されていましたが、原因を確保し、対処されていることが報告されています。


出典:DVIDS | U.S. Coast Guard District 11 PADET Los Angeles,Petty Officer 3rd Class Richard Uranga

9月10日の時点で海底からコンテナ2個を回収

出典:DVIDS | U.S. Coast Guard District 11 PADET Los Angeles,Petty Officer 3rd Class Richard Uranga
海上に落下したコンテナのうち、海面上に浮いているものについてはオイルフェンスに囲まれた場所に集められ、回収が進められている。水没してしまったコンテナについて、9月10日の時点で回収されたのは2個。港内には25~30個のコンテナが沈んでいると想定されており、ソナー調査による落下位置を特定する作業がおこなわれている。
気になる事故原因について、現段階では不明。コンテナ崩落時の映像や事故後の画像を確認すると、少なくとも2カ所でコンテナの崩落が起きている。崩落の瞬間を捉えた映像によると、船尾側のコンテナ崩落が起こった後に船橋前方のコンテナ崩落が起きたようです。
事件原因を特定するための調査は、米国沿岸警備隊(U.S. Coast Guard)と国家運輸安全委員会(National Transportation Safety Board)が主導で開始されている。


出典:DVIDS | U.S. Coast Guard District 11 PADET Los Angeles
排出ガス回収バージ(emissions-capture barge)とは?

コンテナ崩落が起きた時、コンテナ船「Mississippi」に接舷していた排出ガス回収バージ(emissions-capture barge)とは一体どのような船なのか?事故原因に関係しているのかは分かりませんが、気になったので調べてみました。
事故現場にいた排出ガス回収バージ「Stax 2」を運航するSTAX Engineeringのウェブサイトを確認。排出ガス回収バージをコンテナ船に接舷していた目的は、港内停泊時に船舶から排出される排気を吸引するためだという。吸引した排気は、バージに積まれた独自の技術を駆使して窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、粒子状物質、ディーゼル粒子状物質(DPM)、反応性有機ガス(ROG)などの有害な大気汚染物質をCO2と水蒸気の無害な混合ガスに変換。粒子状物質の99%、窒素酸化物の95%を除去できるという。
荷役のため入港する船舶に要求される規制基準に対して、高額な設備投資や船の改造をすることなく排出削減が実現できる脱炭素技術として注目を集めている。陸上から船舶へ電力を供給する設備がある港湾であれば、船側の発電機を停止させることも可能ですが、整備が遅れているという現状があるようです。
STAX Engineeringはカリフォルニア州の6つの港、ロサンゼルス港、ロングビーチ港、オークランド港、ヒューニーメ港、ベニシア港、リッチモンド港でサービスを提供。対応船種は、コンテナ船、自動車運搬船。間もなくタンカーを含むすべての主要船種に対応するという。
排出ガス回収バージの船体寸法は、長さ48.8m(160フィート)、幅12.2m(40フィート)。排気を回収するアームのリーチは76.8m(252フィート)、台座付きのタイプは85.0m(279フィート)。係留設備としてスパッドを搭載。
コンテナ船「Mississippi」

出典:MarineTraffic | Gaurav Abhishek
船名 | Mississippi |
船種 | コンテナ船 |
総トン数 | 52,228トン |
載貨重量トン数 | 65,968トン |
コンテナ積載量 | 5,500TEU |
長さ | 255m |
幅 | 37.3m |
深さ | 22m |
船籍 | ポルトガル |
建造年 | 2024年3月 |
- Owner(船主):MPC ECOBOX OPCO 4 AS
- Manager(管理会社):Wilhelmsen Ahrenkiel Ship Management GmbH & Co. KG
- Shipbuilder(建造):HJ Shipbuilding & Construction Co., Ltd.(HJ重工業:韓国)
【動画】コンテナ崩落の瞬間
Shipping containers fell off a transport ship into the sea at the Port of Long Beach in California on Tuesday morning as the cargo ship listed to the side.
— Mrgunsngear (@Mrgunsngear) September 10, 2025
That's going to be expensive… 👀#CityLife #LongBeach #California #shipping #ocean #sea #logistics #FAFO #fail pic.twitter.com/N35YX2Ef37
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