「クリムゾンポラリス」の撤去完了時期は5月中旬に遅れる見通し

「クリムゾンポラリス」の撤去完了時期は5月中旬に遅れる見通し 事件・事故
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「クリムゾンポラリス」の撤去完了時期は5月中旬に遅れる見通し

2024年3月4日、青森県八戸港の沖で座礁した木材チップ専用船 CRIMSON POLARIS(クリムゾン・ポラリス)の残された船尾部分を撤去する作業にあたっている日本サルヴェージは、地元の漁業者などを対象にした非公開の説明会を実施。報道されている情報によると、その説明会で撤去作業の完了時期が5月中旬に遅れる見通しとの報告があったという。

撤去作業完了時期が遅延する理由については、機関室部分の搭載作業が遅れたことなどが要因になっているそうです。

非公開の説明会が実施された同日に機関室部分を載せたフローティングドック「宏洋12000」は八戸港を出港しましたが、依然として八戸港沖には「クリムゾンポラリス」の居住区と船倉が残されています。今回の工程遅延に関する報道で、居住区と船倉の撤去方法に関する情報は書かれていない。ということは、残る居住区と船倉もチェーンプラーを艤装した台船2隻による引き揚げ、そしてフローティングドックへの搭載という流れになる可能性が高そう。

個別の重量については明らかにされていませんが、過去に報道された情報では船尾部分の総重量が3,300トン。そして、機関室部分の重量は1,700トン。差し引くと、居住区と船倉を合わせた重量は約1,600トンということに。概算重量なので実際とは前後していると思いますが、油流出リスクは低くなったとはいえ、残る居住区と船倉もかなりの重量であることは間違いない。

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座礁事故発生から撤去作業に関するこれまでの流れ

これまで、当ブログで取り扱った記事を中心に「クリムゾンポラリス」座礁事故発生から撤去作業に関するこれまでの流れをまとめてみました。

大型起重機船での引き揚げ作業については、2022年10月に八戸港へ到着した4,100トン吊り起重機船「海翔」の他に2022年5月にも引き揚げ作業に向けて2,050トン吊り起重機船「金剛」が入港していたという情報がありますが、詳細がよく分からなかったので記載していません。

「クリムゾンポラリス」座礁事故発生から撤去作業に関するこれまでの流れ
  • 2021年
    8月11日
    座礁事故 発生

    青森県八戸港沖で錨泊中に強風により流され座礁。事故当時、船に乗船していた乗組員21名(中国人、フィリピン人)は、全員無事。

  • 8月12日
    船体分断

    船体分断により油流出。流出した油の量は388KL(推定)。座礁時点で「クリムゾンポラリス」が保有していた油の量は、重油約1,550トンと軽油約130トン。

  • 8月27日
    船首部を八戸港内に移動

    自船浮力で浮いている船首部を八戸港内に引き込み、岸壁に係留した状態で船内に残る油の抜き取り作業開始

  • 9月13日
    船首部の曳航開始

    9月11日に船首部の油抜き取り作業が完了、13日に八戸港を出港して広島県江田島へ向け船首部の曳航開始

  • 9月25日
    船尾部の油抜き取り完了

    八戸港沖に残る船尾部の油抜き取り作業を9月14に開始。9月25日に完了

  • 10月8日
    船尾部の撤去作業も日本サルヴェージが引き続き継続

    事故発生後から現地で油抜き作業にあたっていた日本サルヴェージが撤去作業についても引き続き継続しておこなうことを船舶管理会社である美須賀海運株式会社が発表(source:https://misuga-kaiun.co.jp/news/wordpress/wp-content/uploads/2022/09/20211008.pdf)

  • 11月
    撤去準備作業中、潜水士がガス爆発に巻き込まれる事故発生

    船尾部の分割撤去に向けて、船体に解体用チェーンを通すための穴を開ける作業中に潜水士がガス爆発に巻き込まれて肩や胸を打撲する事故が発生

  • 2022年
    9月28日
    地元の漁業者などを対象にした非公開の説明会

    10月初旬に大型起重機船到着、そして10月中旬に機関室部分の吊り上げ撤去という工程説明があったという

    撤去作業完了予定:2023年1月

  • 10月初旬
    海面上から船尾部分が見えなくなる

    事故後、船尾部分は反転して船底が上になった状態で海面上に少し見えていましたが、海面上から姿が見えなくなる

  • 10月23日
    起重機船「海翔」八戸港 到着
  • 12月1日
    起重機船「海翔」八戸港 出港

    入港後、何度か引き揚げを試みるためチャレンジはしていましたが、海象状況が悪く作業中止に。

  • 12月9日
    「チェーンプラー」を使用した引き揚げ方法に変更

    地元漁業者などを対象にした非公開の説明会で、船尾部分の引き揚げ方法について大型起重機船ではなく「チェーンプラー」を使用した施工方法への変更を提案。11ヶ月の工程遅延が明らかに。

    撤去作業完了予定:2023年12月末

  • 2023年
    1月24日
    「チェーンプラー」使用の撤去工程を提示

    地元漁業者などを対象にした非公開の説明会で、引き揚げ方法を「チェーンプラー」に変更した工程を提示。機関室部分を2023年10月下旬から11月上旬におこない、撤去完了予定は工法変更を提示した時と変更なく、2023年12月末。

    撤去作業完了予定:2023年12月末

  • 8月31日
    使用予定の大型台船が遅れるため工程遅延

    地元漁業者などを対象にした非公開の説明会で、引き揚げで使用予定の大型台船が現在従事している作業に遅れが生じているため、八戸沖撤去の工程が遅れるというもの。1ヶ月の工程遅延。

    撤去作業完了予定:2024年1月末

  • 10月24日
    機関室部分の引き揚げ作業開始

    作業を開始した10月24日午後に油が流出し、オイルフェンスの外にも漏れたと撤去作業をおこなうサルベージ会社から海上保安部へ通報あり

  • 12月14日
    機関室部分に想定外の切れ込みが発生し工程遅延

    地元漁業者などを対象にした非公開の説明会で、機関室部分を台船2隻で吊上げた際に想定外の切れ込みが発生したため、別の位置に吊り上げ用のチェーンを設置し直す必要があるため工程が遅れるという説明。2カ月の工程遅延。

    撤去作業完了予定:2024年3月末

  • 12月31日
    八戸港の防波堤内側へ機関室部分を移設する作業が完了

    台船2隻による機関室部分の吊り上げ作業は12月30日午前9時頃に開始。そして、午後4時半頃から曳航開始したものの機関室が海底に接触して進めないトラブル発生。30日夜から31日午前4時半頃にかけて再び吊り上げを実施。その後、午前5時頃に曳航を再開して午前7時20分頃に中央防波堤の港内側へ到着。

  • 2024年
    1月31日
    フローティングドック「宏洋12000」八戸港 到着
  • 2月11日
    機関室部分の搭載作業中にフローティングドックの甲板破損
  • 2月24日
    機関室部分をフローティングドックへ搭載完了
  • 3月4日
    広島県江田島へ向けてフローティングドック八戸港 出港
  • 3月4日
    機関室部分搭載作業の遅れから工程遅延

    撤去作業完了予定:2024年5月中旬

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