火災で沈没した掃海艇「うくしま」6月に引き揚げへ

火災で沈没した掃海艇「うくしま」6月に引き揚げへ 国内ニュース
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火災で沈没した掃海艇「うくしま」6月に引き揚げへ

2025年4月25日、海上自衛隊は福岡県沖を航行中に起きた火災沈没した掃海艇「うくしま」の船体を2025年6月上旬にも引き揚げる方針を明らかにし、オフショアエンジニアリング株式会社と契約。5月上旬から掃海艇「うくしま」の船体引き揚げに向けた準備作業を始めるという。

オフショアエンジニアリングは、深田サルベージのグループ会社で防衛省関連業務の拡大に伴い、その支援業務をより一層強化することを目的として1990年1月に設立。防衛省関連の海上における役務支援業務や船舶運航業務、深田サルベージが保有するROV(遠隔操作無人探査機)の運航支援業務をおこなっている。

火災により沈没した掃海艇「うくしま」

掃海艇「うくしま」で沈没の原因となる火災が発生したのは、2024年11月10日9時40分ごろ。福岡県宗像市の大島から北へおよそ2.3km沖合を航行していた掃海艇「うくしま」で火災が発生。10日14時前には一度、火災は鎮火したかのように思われましたが、その後再び出火。同日午後、乗組員は別の掃海艇「とよしま」に避難しましたが、その際に乗組員1名が行方不明となっている。

日付が変わった11日0時過ぎに船体は転覆し、8時半過ぎに沈没。

2024年12月17日から掃海艇「うくしま」の沈没海域において、船体周辺に沈下している物品のサルベージ作業を実施していたところ、12月25日に人骨のようなものを発見。発見された人骨をDNA鑑定した結果、12月27日に行方不明であった掃海艇「うくしま」乗員のものであることが判明。

掃海艇「うくしま」で起きた火災・沈没のタイムライン
  • 2024年
    11月10日
    鹿児島県の志布志港へ向けて下関基地を出港
  • 10日 09:40
    福岡県宗像市の大島沖で火災発生
  • 14時前
    一度、火災は鎮火したかのように思われたが、その後再び出火

    乗組員は別の掃海艇「とよしま」に避難、その際に乗組員1名が行方不明となる

  • 11日 0時過ぎ
    転覆
  • 8時半過ぎ
    沈没
  • 12月25日
    掃海艇「うくしま」の沈没海域で船体の周辺から人骨らしきものを発見
  • 27日
    発見された人骨をDNA鑑定した結果、行方不明であった掃海艇「うくしま」乗員のものであることが判明

公募時の作業概要

2025年2月19日に公示された掃海艇「うくしま」引き揚げに関する公募資料に記載されている事項を見ると、作業の概要を把握することができます。

掃海艇「うくしま」の船体寸法は長さ54m、幅9.4m、深さ4.2m。船体重量を意味する排水量は510トン、水中重量は486トン(満載時)。沈没している海域の水深は約50m、海底の底質は砂。

必要機材についての記載を見ると、船体の引き揚げおよび陸揚げには起重機船を使用し、船体輸送にはフローティングドックを使用するという記載があります。”記載されている機材またはこれらに代わる機材、技術を確保できること” という文言も書かれているため、変更になる可能性もありそうですが、船体の収容および輸送にフローティングドックを想定しているのは、気中に吊り上げると船体が自重で破損してしまう恐れがあるからかもしれません。火災で損傷した船体をなるべく現状維持したまま引き揚げたいという意図がありそう。

海底から引き揚げた掃海艇「うくしま」の船体は、佐世保港の岸壁へ陸揚げると記載されています。

必要機材についての記載事項
  • 船体への玉掛け作業:潜水母船(潜水員)、旋回クレーン船
  • 船体引揚および陸揚作業:起重機船
  • 船体収容および輸送作業:フローティングドック
  • 海底残置物および落下物の回収:ROV、潜水母船(潜水員)
船名うくしま
排水量510トン(基準)
590トン(満載)
長さ54m
9.4m
深さ4.2m
建造年2003年3月
掃海艇「うくしま」
出典:Wikipedia | 海上自衛隊, CC 表示 4.0, リンクによる

リンク先 海上自衛隊調達情報ウェブサイト | 令和7年度掃海艇「うくしま」引揚(https://www.mod.go.jp/msdf/bukei/s0/nyuusatsu1/k-06-0033-0219.pdf)

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