大金重工が建造する4万トンの大型甲板輸送船「KING ONE」進水


出典:Dajin Heavy Industry
2025年10月10日、中国のDajin Heavy Industry(大金重工)が建造する載貨重量トン数(DWT,Deadweight tonnage)4万トンの大型甲板輸送船「KING ONE」が進水しました。
洋上風力、石油、ガス分野の大型機器輸送用に設計・開発されたという大型甲板輸送船「KING ONE」は長さ240m、幅51m、深さ13m。甲板面積は12,000m2で速力13ノット、航続距離16,000海里(約30,000km)。
大金重工に関する記事はこれまでにも書いてきましたが、洋上風力向けのモノパイルや風力タービンタワーの製造だけだったので造船事業を手掛けていることに驚き。LinkedInの投稿内容には、2022年に大金造船施設を設立したとあり、ホームページには2023年に遼寧省盤錦市にある造船基地が稼働し、造船事業を開始したと記載されていました。遼寧盤錦造船基地(遼寧省)は、蓬莱(山東省)、陽江(広東省)という大金重工でも3つの主要オフショア向け製造施設のうちの1つで大型甲板輸送船、半潜式運搬船、そしてオフショア分野向けの重量物運搬船といった船種を建造。4年後の2029年まで受注が入っているという。
掲載画像で気になったのは、船底付近のビルジキールと呼ばれる船体動揺を低減させる板の少し上の位置で左舷に3箇所、右舷に2箇所設置されているもの。風よけの付いた足場のようにも見えるものは、位置的に考えて防舷材かな?建造が進むと分かるんでしょうけど、違和感を感じるカラーリングなので少し気になりました。
載貨重量トン数、DWT(Deadweight tonnage)とは、満載喫水線の限度まで貨物を積載したときの全重量から船舶自体の重量を差し引いたトン数のことを言い、船に積める貨物の量を示す目安となる。ただ、この中には運航に必要な燃料・水・食料などの重量も含まれているので純粋な貨物の積載重量ではない。
将来的に大型甲板輸送船10~20隻を保有し、独自の輸送艦隊を構成


大金重工の自社ホームページに掲載されている情報によると、現在は2~4隻の甲板輸送船を開始する第1段階。将来的には、シリーズ船でトン数の異なる超大型甲板輸送船10~20隻で独自の輸送艦隊を形成する予定だという。
掲載されている大型甲板輸送船のイメージ画像では、風力タービンタワーを立てた状態で貨物甲板にびっしり積載して輸送する様子が紹介されています。数えてみると 19×4=76本 積まれているので、3分割だとすると約25基分。さすがにモノパイルのイメージ画像は倒した状態で輸送していました。
モノパイル、ジャケット、浮体基礎、トランジションピースなど風力タービンの基礎部材や風力タービンタワーの製造に留まらず、海上輸送までも自社船舶でおこない納入するという一貫体制にはビックリ。さらに、輸送船の建造まで自社でおこなうという異次元の守備範囲。


日本国内企業の大型甲板輸送船建造の動き

出典:Mitsui O.S.K.Lines

日本国内でも商船三井ドライバルクやNYKバルク・プロジェクトが洋上風力向けの部材を輸送することが出来る大型甲板輸送船を建造しており、商船三井ドライバルクは2024年4月にJFEエンジニアリングと海上運送契約締結を発表しています。
JFEエンジニアリングは岡山県笠岡市に国内初のモノパイル製造工場を建設し、2024年3月に完成。
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