中国で建造されている完成間近の3,000トン吊りクレーンを搭載したSEP起重機船「Voltaire」に台風12号が直撃。クレーンとヘリデッキに損傷を受けたそうです。
SEP起重機船「Voltaire」に台風13号が直撃
台風12号(ムイファー,Muifa)は、2022年9月8日午前にフィリピンの東の海上で発生。その後、発達しながら北上し、9月14日夜には中国東部の浙江省に上陸。その数時間後には上海に再上陸。そして「Voltaire」が係留している江蘇省南通市を通過。さらに北上して9月16日に温帯低気圧に変わった。
中国国営メディアによると、台風12号は上海に上陸した台風としては、1949年の統計開始以来もっとも強かったそうです。
上陸時の中心気圧は955hPa、最大風速40m/s。日本でいう”強い台風”の状態で上陸、通過したことになります。
日本の石垣島でも9月12日に最大瞬間風速40m/sを観測し、倒木などが相次いだ。強風で電線が切れる被害も出ていて、先島諸島では1000戸以上が停電している。
SEP起重機船「Voltaire」の被害状況
SEP起重機船「Voltaire」は、2020年3月に建造開始、順調に建造は進み2022年7月末からSEA TRIAL(海上公試)が行われ、メインクレーンの負荷試験も完了、完成間近という状態でした。
幸い、けが人などはいない。目視による確認ではクレーンとヘリデッキの特定部分に限定的な損傷が見られるようです。
VOLTAIRE HIT BY TYPHOON MUIFA
(MUIFAに襲われたVOLTAIRE)
Voltaire hit by typhoon Muifa | Jan De Nul
掲載記事によると台風12号通過時に係留が緩んでいたという記載があるのでジャッキアップはされていなかったのでしょう。SEP船なので台風養生でジャッキアップしたほうが安全な気がしますが、そうじゃないのかな。
台風などの荒天で強風が吹く場合は、船体が巨大なので岸壁の係留設備がもたないことが予想される。通常であれば、波が立ちにくい島影などに移動してアンカーで沖ふらしにすると思いますが、「Voltaire」が係留していた場所の近くにはそういう場所が無さそう。
仕方なくそのまま係留していたが、強風により係留ロープが破断したか、係留設備が破損して陸上の設備に接触したか、付近に係留していた他船に衝突して破損したのではないでしょうか。あくまで想像ですが。
SEA TRIAL(海上公試)では、中国北部の山東省 威海市 環翠区に行っていましたが、帰ってきてからは👆上にあるAIS情報の位置にずっといました。
地形的に外洋に近いのでうねりとか入ってきやすそうですけど、沖に洲があるのでそれが防波堤みたいな役割を果たしているんでしょうか。
限定的な損傷ということで、大きな破損は無いようなので安心しましたが、まだもう少し台風襲来が続くので気を付けないと同じ事が起きてしまうかもしれません。
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