どこかで一度は見たことがある珍しい船がスクラップに

どこかで一度は見たことがある珍しい船がスクラップに 船舶
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外洋調査プラットフォーム「R/F FLIP」スクラップへ

外洋調査プラットフォーム「R/P FLIP」
出典:FLIP in 2009 by Scripps Institution of Oceanography, on Flickr

ネット画像などで多くの人が一度は見たことがあるのではないでしょうか。特異な船体構造により、洋上で垂直に起き上がることが出来る外洋調査プラットフォーム「R/P FLIP」。しかしながら建造から61年が経過しており、2023年8月3日にサンディエゴから解体・リサイクル施設へ向けて曳航が開始されたそうです。

船名の ”FLIP” は、FLoating Instrument Platform の頭文字を取った略称ですが、”FLIP” の単語が持つ反転させる、ひっくり返すという意味からFlip Shipという愛称もある。ただ、プラットフォームという表記からも分かるように、「R/P FLIP」には推進装置が搭載されていないため移動時はボートで曳航しなければならない。

船体長さは108m、幅7.93mという細長い形状。船体を建て起こして垂直状態になると船体の大部分にあたる91.4mが水面下に潜り、水面上から出る部分は約17mになる。

船名R/P FLIP
長さ108m
7.93m
喫水水平時:3.83m
垂直時:91.4m
推進装置無し
建造年1962年

船体の大部分はタンクという構造

外洋調査プラットフォーム「R/P FLIP」の船体構造
出典:FLIP inboard profile by Scripps Institution of Oceanography, on Flickr

船体構造を見ると分かる通り、全長355フィート(約108m)のうち船首側270フィート(約82m)はタンクという構造になっており、そのタンクへ注水することで船首部分が沈み、船尾部分が水面上へ起き上がる仕組みになっている。

外洋調査プラットフォーム「R/P FLIP」は、1962年に潜水艦戦における長距離音波伝搬の研究を支援するために建造されました。曳航時は細長い船のような形状ですが、調査をおこなう海域では船体を建て起こし直立状態になることで船体の最も細い部分が水面に接するようになり、波浪の影響が軽減され音波の振幅の微細な変動を測定することが可能になったそうです。

出典:FLIP flipping sequence diagram by Scripps Institution of Oceanography, on Flickr

船体構造と同様にユニークな船内設備

出典:Inside FLIP by Scripps Institution of Oceanography, on Flickr

洋上で直立した「R/P FLIP」の画像と同じくらい見たことがある人が多い画像。水平・垂直という2通りの船体姿勢に対応するため、画像のように90度回転した位置に洗面台が取り付けられています。洗面台の他にも扉や梯子、便器などが2通り設置されているそうです。

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敬意を表し、船体の一部を既設桟橋で使用

廃船になる「R/P FLIP」の一部は処理施設に向けて出港する前に取り外され、今後は既設桟橋で使用されるという。使用されるのは調査時に機器を吊り下げていたクレーンのブームのような形状のもの1本。これまでおよそ60年に渡って活躍した外洋調査プラットフォームに対する敬意を表して、普段利用する桟橋に設置。こういうの、いいですね。

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Googleマップで「R/P FLIP」を確認

外洋調査プラットフォーム「R/P FLIP」が基地港にしているアメリカ西海岸のカリフォルニア州サンディエゴをGoogleマップで見ると桟橋に係留している船体を確認することが出来ます。

【更新情報】2026年に「R/P FLIP」再就航へ

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