DEME Offshore USは、Seaqualizeが開発した洋上リフティングデバイス「Heave Chief 1100」を使用する契約を行った。アメリカ初の商用大規模洋上風力「Vineyard Wind 1」での設置船に配備する予定。ジョーンズ法により制限を受ける風車機材の荷受け作業を行うときに使用。
洋上リフティングデバイス「Heave Chief 1100」
DEME Offshore USは、Seaqualizeと契約しアメリカ初の商用大規模洋上風力「Vineyard Wind 1」に新開発された洋上リフティングデバイス「Heave Chief 1100」を配備する予定。
DEME Offshore は、「Vineyard Wind 1」で62基の GE Haliade-X 13 MW 風力タービンの輸送と設置、およびモノパイル基礎の輸送と設置を契約している。
レグにより海底面に自立した状態のSEP船のクレーンで海上に浮かぶ輸送船の風車機材を吊り取ることは非常にリスクが高い作業。洋上リフティングデバイス「Heave Chief 1100」は最大1,100トンまでの重量物に対して輸送船の揺れを低減し、安全に風車機材の受け渡しが出来るそうです。ユニットはバッテリー駆動でフックに吊り下げるだけでどのクレーンにも使用可能。
納入予定は2023年3月。記事を見る限り恐らくまだ完成していない模様。2021年に洋上テストが行われた使用荷重600トンのプロトタイプ「Delta600」に基づいて改良、設計されている。
使用荷重600トン「Delta600」
「Heave Chief 1100」の基になるプロトタイプとして製造された使用荷重600トンの「Delta600」。現在は改良されて使用荷重750トンにアップグレード、「HeaveChief 750」という名前になっている。
「Delta600」としてのスペックは以下のようになっている。
使用荷重 | 600トン |
重量 | 125トン |
高さ | 9.5m |
ストローク | 2.5m |
動力 | 電気駆動 (バッテリー又は有線) |
高さ9.5mは風車機材の荷受けだけなら問題なさそうですが、重量125トンは結構重たいですね。「Heave Chief 1100」だと200トンくらいになっちゃうんでしょうか。
「Delta600」の洋上試験
2021年に使用荷重600トンの「Delta600」を使用した洋上試験が行われた。作業を行ったのはVan Oordの1,600トン吊りSEP起重機船「AEOLUS」とPSV(Platform supply vessel)「REM TRADER」。
洋上試験ではSEP船をジャッキアップした状態と通常のクレーン船と同様の浮いた状態の両方で吊り上げテストが行われたようです。
動画では一番リスクの高い玉掛け作業は映っていませんでした。製品が損傷する恐れが高い地切の瞬間もチラッとしか映らないので、あまり参考にはならないかも。ただ、吊荷の重量を感じさせないくらいフワフワはしてます。
動画リンク先 https://vimeo.com/648556989
上下の揺れは低減されるけど・・・横揺れは?
輸送船にはDPS(自動船位保持装置)が搭載されている前提ですが、横揺れが全くないわけはない。「Delta600」だと構造的に上下にしか動かないように見えるので実際のところ実用的かどうかは分からないですね。「Heave Chief 1100」で改善されてる可能性もありますが。
DEMEはBarge Masterとも提携して風車機材の運搬船に搭載する ”Motion compensated platform”を開発している。
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