徳山下松港で発見された不発弾処理の一環として6箇所の潜水探査実施

徳山下松港で発見された不発弾処理の一環として6箇所の潜水探査実施

2025年12月26日、国土交通省中国地方整備局宇部港湾・空港整備事務所が事務局を務める山口県港湾 水際・防災対策連絡会議は徳山下松港で発見された不発弾処理の一環として、金属反応が確認されている10箇所のうち6箇所の潜水探査を実施し、新たな不発弾は発見されなかったことを公表しました。

山口県周南市にある出光興産徳山事業所の東桟橋付近で不発弾が発見されたのは、2025年9月5日。浚渫作業に伴う海底の磁気探査をしていたところ、爆発物らしきもの1個を発見。翌日の9月6日に海上自衛隊が確認したところ、爆発物の可能性があり、信管らしきものが確認できたため、引き上げ作業を中断。不発弾は筒形で大きさは長さ120cm、幅40cm。

不発弾付近では他にも10箇所で金属反応が確認されており、これらが不発弾の場合、すでに発見されている不発弾を現在の位置で水中爆破処理すると誘爆の可能性を排除できないため、金属反応があった10箇所について潜水探査を計画。そして、金属反応があった10箇所のうち6箇所の潜水探査を12月23日と24日におこなったというのが今回の公表内容。

金属反応があった10箇所のうち潜水探査を実施しなかった4箇所の除外理由は事前におこなった試験探査の結果によるもののようです。

土質条件が似ている別の場所で試験探査を実施

2025年12月15日～17日、発見されている不発弾箇所から約4km南西に位置する出光興産徳山事業所 大浦地区の大浦5号桟橋付近で試験探査を実施。

土質条件がほぼ同様の大浦5号桟橋付近でおこなわれた試験探査では、仮想不発弾位置から20ｍ、30ｍ、40ｍ、50ｍ、100ｍの計5箇所で試し掘りを実施。仮想不発弾位置に振動計を設置し、試し掘りによる振動を計測するとともに、仮想不発弾位置で海上自衛隊により体感で振動の有無を確認。

試験探査の結果として、海上自衛隊の潜水士による体感で僅かな振動を感じたのは仮想不発弾位置から20ｍまででしたが、振動計のほうは30ｍでも僅かな振動を計測。この結果を踏まえ、金属反応が確認されている10箇所の潜水探査は不発弾の位置から40ｍ以遠の6箇所について実施したようです。

試験探査の結果

試験探査の概要として掲載されている要領図によると、堆積物除去にはエアーリフトを使用。エアーリフトで使用する塩ビのパイプは、片側端部にコンプレッサーのラインを接続できるようにしてあるだけの簡易的な構造。圧縮空気を塩ビパイプに送ると空気と共に水と土砂が吸い出される仕組み。潜水士が手持ちで取り扱える塩ビパイプの長さは数ｍ程度で、潮流や作業時間によっては塩ビパイプの先から出る濁りで視界不良になる。6箇所の潜水探査に12月23日と24日の2日間を要したのは、エアーリフトによる濁りを落ち着かせるための時間を取るためだったのかもしれません。

潜水探査結果

金属反応が確認されている10箇所のうち不発弾位置から40ｍ以遠の6箇所について実施した潜水探査結果では、新たな不発弾は発見されなかった。

潜水探査により発見されたのは、ワイヤー、パイプ、ラジカセ。

早急かつ安全な不発弾処理が望まれていますが、山口県港湾 水際・防災対策連絡会議は不発弾近傍の金属反応が確認されている4箇所が探査できないことなどを踏まえ、今後の不発弾処理の対応について継続して関係者で協議を進めていくと述べています。