三菱造船が国内初となるメタノール燃料Ro-Ro貨物船2隻を受注

三菱造船が国内初となるメタノール燃料Ro-Ro貨物船2隻を受注

2024年6月18日、三菱重工はグループ会社の三菱造船が国内初となるメタノール燃料Ro-Ro貨物船を、トヨフジ海運と福寿船舶向けに計2隻受注したと発表。2隻は山口県下関市の三菱重工業下関造船所江浦工場で建造し、2027年度中に完成・引渡しの予定。

建造予定のメタノール燃料Ro-Ro貨物船は、長さ約169.9ｍ、幅約30.2ｍ、総トン数約15,750トン。船首には風防スクリーンと垂直ステムを採用して推進抵抗を低減し、高効率プロペラおよび抵抗低減型高性能舵を組み合わせた独自の省エネシステム技術により燃費性能を改善。また、従来船に比べて積載台数を大幅に増やし、1航海当たりの輸送能力が増えることで配船スケジュールに余裕が生まれ、乗組員の休暇、休息時間の確保により働き方改革に貢献。そして、最大の特長であるメタノールとA重油それぞれを燃料として使用できる高性能デュアルフューエルエンジンを搭載。同じ船型で重油を使用した場合と比較して、CO₂排出量を10％以上削減し、環境負荷の低減に貢献するという。

将来的には、グリーンメタノールと呼ばれるバイオマス由来または回収したCO₂と再生可能エネルギーで生成した水素との合成燃料を活用することで、ライフサイクルを含めたCO₂排出量の更なる削減につなげていくことも可能。メタノールを燃料とするRo-Ro船は、世界を航行する外航船では既に運航が開始されていますが、日本国内を航行する内航船の建造は初めてになるという。

メタノール燃料Ro-Ro貨物船の概要

三菱造船ではLNG燃料Ro-Ro貨物船も建造中

LNG燃料Ro-Ro貨物船「TRANS HARMONY GREEN」進水時の様子

出典：MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES

三菱造船では、今回建造契約を受注したメタノール燃料Ro-Ro貨物船のほかに、LNG燃料Ro-Ro貨物船を建造しており、2024年6月7日に命名・進水式がおこなわれました。

トヨフジ海運向けに2隻のLNG燃料Ro-Ro貨物船を受注しており、命名・進水式がおこなわれた1番船は「TRANS HARMONY GREEN」と名付けられた。2025年1月末に引き渡された後、アジア航路向けのRo-Ro船として就航する予定。

LNG燃料Ro-Ro貨物船「TRANS HARMONY GREEN」は、長さ約195m、幅約30.6m、総トン数約49,500トン。主機関および主発電機関には、LNGと軽油それぞれを燃料として使用できる高性能デュアルフューエルエンジンを搭載。同じ船型で重油を使用した場合と比較して、CO₂排出量を25％削減、SOx（硫黄酸化物）排出量がほぼゼロという優れた性能を達成しており、環境負荷の低減に寄与するという。

LNG燃料Ro-Ro貨物船「TRANS HARMONY GREEN」の概要