商船三井が米国初のFLNGプロジェクトに参画、480億円出資
2026年6月4日、商船三井は米国初となる洋上LNG液化設備(FLNG,Floating Liquefied Natural Gas)プロジェクトについて、出資参画を正式に決定したと発表。日本の海運会社としてFLNG事業に参画するのは初めて。
FLNG事業を開発するDelfin Midstreamや世界最大の資産運用会社であるGlobal Infrastructure Partnersを中心とした出資者グループ、世界屈指のLNGトレーディング会社であるVitolと共に最終投資決定に至ったという。
米国初となるFLNGプロジェクトは、年間440万トンのLNG液化能力を有する世界最大級のFLNG事業で、2030年頃の生産開始を見込んでいる。プロジェクトの総事業費は約50億米ドル、日本円に換算すると約8,000億円(1ドル=160円として換算)。出資者による総出資額は約14億米ドル(約2,240億円)で、商船三井はそのうち総出資額の約23%にあたる約3億米ドル(約480億円)を出資する予定。
商船三井は、2023年にFLNG事業を開発するDelfin Midstreamへの出資を決定し、戦略的出資契約を締結。これまでFLNG事業開発を支援するとともに、FLNGプロジェクトの事業性評価をおこなってきた。このたび、本プロジェクトの実現に必要な条件が整い、事業実現の蓋然性(証拠や根拠から合理的に予測できる可能性)および収益の見通しが高まったことから、出資を決定。
Samsung Heavy IndustriesとFLNGの建造契約を締結

米国初となるFLNGプロジェクトは、事業上必要な主要許認可の取得を終えており、液化するLNGについては英国大手エネルギー会社Centrica、米国大手天然ガス生産会社Expand Energy、世界屈指のLNGトレーディング会社であるVitolおよびGunvorと長期販売契約を締結しているという。この度の出資決定を受け、Samsung Heavy IndustriesとFLNGの建造契約を締結し、生産開始に向けた遂行段階へ移行する。
商船三井は出資者として参画するとともに、浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)等で培った洋上浮体設備に関する技術面や、船から船へ貨物を移送するShip-To-Shipのオペレーション・安全面、および金融面からプロジェクトを支援。
天然ガスは運搬するにあたり、気体から体積約600分の1のLNGへ液化することが適しており、通常であれば陸上のLNG液化設備で液化の後、LNG船で運搬される。FLNGは洋上で天然ガスを液化する設備であり、陸上設備に比べて周辺のローカルコミュニティへの影響を最小限に抑えられるという利点があり、混雑したシップチャネルを回避できるため、LNG船の柔軟な入出港が可能となる。さらに、ハリケーンなどの荒天時には係留設備を切り離して安全海域へ退避することで、被害リスクを大幅に低減できる点も大きなメリット。

出典:Mitsui O.S.K.Lines
今回のFLNGプロジェクトでは、原料ガスを米国本土で調達し、既設パイプラインを活用して米国ルイジアナ州南部沿岸の沖合約40マイルに位置するFLNGまで輸送。FLNG上で輸送されたガスをLNGに液化してLNG船に積み込み、購入者に引き渡す。

出典:Mitsui O.S.K.Lines
これまでに、商船三井は世界最大のLNG船隊の運航を通じて培ってきた豊富な知見・ノウハウを活かし、FSRUや発電船などを通じてLNGサプライチェーンの下流領域でも事業を展開。FLNG事業に参画することで、LNGの輸送・受入・再ガス化に加え、生産に近い上流領域にも垂直展開を進め、商船三井のLNG事業をバリューチェーン全体へ広げる考え。LNG輸送で培った知見を起点に、LNGサプライチェーン全体で価値を創出する事業モデルへ進化し、グローバルなエネルギー供給の多様化・安定化・低炭素化に一層寄与する。
FLNG「PRELUDE」を超える能力?

出典:Shell
今回のFLNGプロジェクトでLNG液化能力は年間440万トンと紹介されている。
世界最大のFLNGとして知られているFLNG「PRELUDE」は全長488m、幅74m、総トン数30万トン、排水トン数60万トン。年間約360万トンのLNG、年間約40万トンのLPGおよび日量約3.6万バレルのコンデンセートを生産・液化・貯蔵・出荷する能力がある。
生産・液化・貯蔵・出荷をおこなうFLNG「PRELUDE」に対して、原料ガスをパイプラインで輸送して液化・出荷する今回のFLNGプロジェクトで単純に比較することは出来ませんが、LNG液化能力はFLNG「PRELUDE」を上回っている。



















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