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青森沖で沈没のホタテ漁船引き揚げ、プロペラ点検口から浸水の可能性

青森沖で沈没のホタテ漁船引き揚げ、プロペラ点検口から浸水の可能性 国内ニュース
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青森県 横浜町沖で沈没のホタテ漁船引き揚げ

2024年3月6日、青森県 横浜町沖の陸奥湾で沈没したホタテ漁船「たか丸」の引き揚げ作業がおこなわれました。

ホタテ漁船「たか丸」が沈没したのは2月29日。事故当時、漁船に乗船していた4人の死亡が確認されています。

漁船は横浜町から沖へ約1.5km、水深25mの海底に沈んでおり、クレーン付き台船を使用して9時40分頃に引き揚げ。その後、クレーン付き台船で吊り上げた状態のまま舷側に横抱きして横浜漁港に運ばれ、12時30分頃 岸壁上に陸揚げされました。漁港に陸揚げされたホタテ漁船「たか丸」では青森海上保安部による船体の確認や調査が開始されています。

引き揚げられた漁船には目立った船体の損傷は見られなかったものの、プロペラの状態を船内から確認するためのプロペラ点検口窓がなくなっていたという。

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プロペラ点検口から浸水の可能性、浸水原因で最も多い「海水打ち込み」

漁船「たか丸」の沈没事故が起きた日、海は穏やかだった。ではなぜ、船は沈没したのか。事故の詳しい原因については、引き揚げた船体の調査などが進められ今後明らかにされていく段階なので現在のところ不明。

一般的に船舶が転覆、沈没する最も多い原因のひとつは浸水によるもの。そして、浸水が起こる原因は様々で船体の亀裂や冷却水系統に起因する場合、シャフト周りからの浸水などが挙げられますが、中でも最も多いのが甲板上の開閉式ハッチなどから又は大きな波を受けて船首・船尾からといった直接海水が船内に浸水するパターン。

引き揚げられた漁船「たか丸」の外観に目立った船体損傷が見られなかった点、そして、プロペラ点検口窓がなくなっていたという点から推測できるのは、何らかの理由で点検口から海水が浸水し、沈没に至ったのではないかということ。

国土交通省の外局にあたる運輸安全委員会が発表している船舶事故調査報告書でプロペラ点検口からの浸水に起因する事故は過去にも報告されています。

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過去の類似事故

2008年10月に発足した運輸安全委員会のウェブサイトで確認できる船舶事故調査報告書は、2009年1月30日公表のものから始まり、2024年2月29日公表分までで15,565件を閲覧することが出来ます。

船舶事故調査報告書の検索機能によりキーワード検索 ”プロペラ点検口” でフィルターを掛けると40件ヒット。中にはプロペラ点検口が水面上に位置する船で開口部から転落したという浸水とは関係のない事例も含まれており、実際は40件よりも少ないようですが、ひとたび浸水から船体沈没に至ると重大災害につながる可能性が高い。

運輸安全委員会が2010年3月に発行した ”特集号[船舶事故事例集] 遊漁船・瀬渡船が関連する事故” というニュースレターの中で、プロペラ点検口からの浸水により沈没し、船長及び遊漁客2人が溺死、遊漁客2人が肺炎等で入院した事故事例を取り上げて注意喚起を呼び掛けています。

2008年9月21日に発生した遊漁船第七浩洋丸沈没事故の概略図
出典:運輸安全委員会 | 船舶事故調査報告書(遊漁船第七浩洋丸沈没)(2009年12月18日公表)

船によってはプロペラ点検口が水面より高い位置にある船もあるようですが、引き揚げられた漁船「たか丸」の映像を見る限り👆上の遊漁船「第七浩洋丸」と同じようなタイプのプロペラ点検口である可能性が高い。

プロペラ点検口が水面より高い位置にある漁船「博竜丸」
出典:運輸安全委員会 | 船舶事故調査報告書(漁船博竜丸乗組員死亡)(2022年12月22日公表)

今後、事故原因解明に向けた調査が進められ、事故発生時に船で何が起きていたのかは明らかになると思いますが、船の設備や性能を向上させるだけで死亡事故を防ぐことは困難であるように思える。最低限の船舶設備・性能に加えて、事故発生時の連絡体制や当事者の取るべき行動など常日頃から万が一の事態を想定し、最悪の事態を防ぐという強い気持ちで当事者が安全に対する意識を高める必要がある。

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