大分ホーバークラフト「Baien」操縦訓練初日に事故発生
2023年度中の運航開始を目指して操縦訓練を開始した大分ホーバークラフト1番船の「Baien」で事故が発生するという衝撃の事態が起きました。11月はじめに大分空港と大分市のホーバークラフト発着場でそれぞれ安全祈願祭が開かれ、事故が起きた11月8日から操縦士の訓練が始められる予定になっていました。
事故の経緯
運航をおこなう第一交通産業株式会社および大分第一ホーバードライブ株式会社が公表した事故報告書によると、事故が発生したのは2023年11月8日午前7時5分。
ホーバークラフト「Baien」は早朝6時過ぎに大分市発着場を出港し、大分空港へ向けて航行。46分後、大分空港に到着し、斜路へ上陸した時に右舷船尾スカートがガードレールに接触。斜路に設置されているガードレールの横板は上下に取り付けられており、上部ガードレールが破損時に空中へ跳ね上がり、右舷プロペラダクトを擦って右舷後方の舵板を破損させたと推測されているという。下部ガードレールはスカートに刺さり込んで切り裂き、浮揚空気を喪失させて浮揚ファン支柱などの船体構造を損傷させたそうです。
報道されている情報では事故当時、2人の操縦士が乗船して訓練に臨んでいたということですが、2人にケガはなく、破損した船体からの油や燃料などの流出も無いという。そして、気になる事故の原因は操縦ミスと見られているそうです。
- 6時19分大分市発着場 出航
- 7時05分大分空港斜路に進入上陸
- 7時05分事故発生
上陸後、斜路のガードレール先端と右舷船尾スカートが接触。上部ガードレ
ールは空中に跳ね曲がり、右舷プロペラダクトを擦って右舷舵板を飛ばし
たと考えられる。下部ガードレールはスカートに刺さり込んで切り裂き、浮揚空気を喪失させて浮揚ファン支柱などの船体構造を損傷。同時に緊急着地をして、船外に出て状況確認。主機停止。
事故の背景と今後の予定
ホーバークラフト建造中の部品破損によって1番船「Baien」の納期が50日遅延している上に起きた今回の事故。報道されている情報だと、船体の修理には早くても2~3か月かかる見込みだという。取材に対し、県の担当者は「運航会社と今後の対応を協議していきたい」と述べている一方で、運航会社側は「引き続き、今年度中の運航開始を目指す」と述べているようです。
この発言の温度差。事故の当事者である運航会社側が責任感から何としても予定通り今年度中の運航開始を死守しようとしているようにも受け取れます。陸上でも海上でも乗り物で ”絶対安全” ということは絶対に無い。時に事故は起こるし、事故に繋がらなくても何らかのトラブルは必ず起きてしまう。
特殊なホーバークラフトの操縦士を育成する過程で起きた今回の事故。大分第一ホーバードライブ株式会社のウェブサイトでは、操縦士がイギリスで40日間の研修をおこなった時の様子を紹介しています。もしこの研修を終えた方が指導員として操縦訓練をおこなっているとすると、適正な研修期間だったのか精査する必要がありそう。感覚的には短いような気がします。実情は不明なので断定はできませんが、操縦士育成プログラムそのものについても客観的な視点からチェックする必要があるのかもしれません。
大きなプロジェクトなので関連する事業が多く、運航開始が遅れることで波及する影響は計り知れませんが、営業運航を開始すれば一般の方がたくさん乗船するという事を念頭において、安全航行を第一に今後の準備を進めてもらいたいと思いました。
大分ホーバークラフトの運航開始を期待している1人のファンとして、予定通りの運航開始は嬉しいことですが、もしも遅れるようなことになっても期待する気持ちは変わらない。
リンク先 大分第一ホーバードライブ株式会社 | 操縦士 イギリス研修の様子
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