SeaTwirlがVerlumeとエネルギー貯蔵などでMOU締結
2024年3月25日、浮体式垂直軸型風力タービンの開発をおこなうスウェーデンのSeaTwirlとエネルギー管理・貯蔵技術の開発をおこなうVerlumeは、海洋資産の電化および石油・ガス産業の脱炭素化について協力するMoU(Memorandum of Understanding:覚書)締結を発表しました。
覚書を締結した目的は、再生可能エネルギーとエネルギー管理の制御自動化を備えた海底のリチウムイオンバッテリーを利用して、海洋石油・ガス産業の脱炭素化および関連する洋上産業電化について潜在的な機会を特定・追求することとしている。将来的に両社の技術を組み合わせたソリューションを活用し、オーダーメイドシステムの商用販売をおこなうことが狙いだという。
英国を拠点として2013年に設立したVerlumeは、10年以上に渡ってエネルギー管理と貯蔵というコア技術に基づいた一連の製品を提供しており、現在オランダ沖で計画が進められている「OranjeWind offshore wind farm」へエネルギー管理の制御自動化を備えた海底のリチウムイオンバッテリー「Intelligent Subsea Energy Storage」を設置する予定。
SeaTwirlの浮体式垂直軸型風車
SeaTwirlが開発する浮体式垂直軸型風力タービン(floating vertical-axis wind turbine)とは。
一般的な浮体式洋上風車は水平軸型風車で、ブレードを回転させるため回転軸は100m近い高所にあり重心が高くなる。そして、重心が高い風車を直立に保つため大型の浮体が必要となり、コスト面での負担も増大。
一方で、SeaTwirlが開発している浮体式垂直軸風力タービンは低重心、スリムな下部構造、海面からアクセス可能な発電機ハウスを備えており、小型でコスト効率が高く、現地で手配可能な船舶で維持管理が可能。 浮体基礎はスパー型を採用。
2015年7月にプロトタイプS1を設置
SeaTwirlの最初のプロトタイプである30kWのユニットは、Lysekil 沖の水域に設置され、海洋環境での設計が検証されました。 現在、さまざまな用途や現場向けに、より大型の浮体式風力タービンの開発が進行中です。
2015年7月にスウェーデンのリューセヒール(Lysekil)沖に浮体式垂直軸型風力タービンのプロトタイプとなるS1を設置。発電容量は30kwと小型でタービンの直径は10m。全体の高さは31mで水面から出ている高さは13m。設置海域の水深は35m。現在、様々な用途や現場向けに、より大型の浮体式垂直軸風力タービン開発が進行中。
発電容量1MWのS2x、そして東京大学の研究グループとも協力
現在、発電容量1MWのS2xを開発中。全体の高さは135m、水面上の高さは55m。S1(30kW=0.03MW)に比べると飛躍的に大きくなってます。タービン直径は50m、ブレードの長さは約40m。風速50m/sの風に耐える設計でカットオフ風速は25m/s。
以前のスケジュールでは2023年に設置予定ということでしたが、まだ設置はおこなわれていないようです。2022年9月にSeaTwirlと東京大学の平林紳一郎准教授らの研究グループは、SeaTwirlの技術を日本の海域に適応させるため協力を開始したことを発表していますが、成果の公表などはおこなわれていないようなので進捗状況は不明。
項目 | S1 | S2x |
---|---|---|
発電容量 | 30kW | 1MW |
全体高さ | 31m | 135m |
水面上高さ | 13m | 55m |
タービン直径 | 10m | 50m |
ブレード長さ | – | 40m |
よく読まれている記事