スエズ運河で操舵故障により半潜水式運搬船「RED ZED I」衝突

2025年6月20日、スエズ運河を航行していた半潜水式運搬船「RED ZED I」が桟橋設備と停泊していた小型のフェリーに衝突する事故が発生。
スエズ運河庁(Suez Canal Authority)が6月21日に発表した情報によると、スエズ運河を南へ向かって航行していた半潜水式運搬船「RED ZED I」は、突然の操舵不能に見舞われたという。スエズ運河北端に位置するポート・サイド(運河標識0km)から南へ約50kmにあるスエズ運河橋の少し北側、運河標識45km地点のエル・カンタラ西旅客フェリーボート(El-Qantara West passenger ferryboat)で航路を逸脱し、スエズ運河西側の桟橋設備などに衝突。
スエズ運河庁傘下の事故調査委員会が実施した調査の結果、現場には一部損傷が確認されているものの、人的被害や負傷者はなく、船体全体の安全性が確認されたと報告されています。
“The incident did not result in any human losses or injuries, and the crisis was fully managed in a record time of 60 minutes.”
「この事故による人的被害や負傷はなく、危機は60分という記録的な速さで完全に収束しました。」
出典:Suez Canal Authority | Admiral Rabiee: “We dealt immediately and professionally with the grounding of the RED ZED 1 diving vessel.”(2025年6月21日掲載)
スエズ運河庁のオサマ・ラビ長官は、半潜水式運搬船「RED ZED I」に乗船していたスエズ運河水先案内人の専門的技能により、船体とフェリー桟橋を平行衝突させたことで垂直衝突を阻止し、重大な損傷を防いだ功績を高く評価すると述べています。
さらに、エル・カンタラ航路管制所の管理者は、船舶が航路から逸走していることを察知し、負傷や重大な損失を防ぐため、乗客らを避難させる必要があることをエル・カンタラフェリーの乗組員に記録的な速さで情報伝達したことについても重要な役割を果たしていると強調しています。


【動画】衝突の瞬間
#مصر
— رؤى لدراسات الحرب (@Roaastudies) June 21, 2025
سفينة الشحن "RED ZED 1" تواجه خللا مفاجئا في نظام التوجيه وتصطدم بمعدية "القنطرة" داخل قناة السويس. pic.twitter.com/1D2zffwiE4
過去にSEP起重機船「CP-16001」を運搬した半潜水式運搬船「RED ZED I」

スエズ運河で衝突事故を起こした半潜水式運搬船「RED ZED I」は、2023年にインドネシアのバタム島にあるGraha造船所で建造された1,600トン吊りSEP起重機船「CP-16001」を長崎まで運搬した実績があります。
5万トン級の半潜水式重量物運搬船「RED ZED I」

出典:COSCO SHIPPING Heavy Transport
SEP船「CP-16001」を運搬した「RED ZED I」は長さ216.71m、幅43m、深さ13.35m、載貨重量トン数はおよそ5万トン、最大で甲板部分を水深13mまで沈めることが出来る半潜水式の運搬船。甲板スペースは、177.3m×43m。船尾側に2つのアイランドがあり、左舷側の小さい方は動かすことが出来ますが、右舷側の方は固定。
「RED ZED I」は中国のCIMC Raffles Offshoreで建造され、2015年に同型船の「RED ZED Ⅱ」と同じ日に引き渡しがおこなわれています。
船名 | RED ZED I |
総トン数 | 37,820トン |
載貨重量トン | 51,969トン |
長さ | 216.71m |
幅 | 43m |
深さ | 13.35m |
最大甲板深度 | 13m |
建造年 | 2015年 |

出典:MarineTraffic | Murray Welte
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