中国の山東省沖合で7MWの洋上風車設置を行うのは2021年までベルギーの Jan De Nul が所有していたSEP起重機船「TAILLEVENT」。売却されて現在は、中国の企業が所有する「慧海壹号」という船名に変更されいる。
中国で洋上風車設置を行う売却されたベルギーのSEP起重機船
中国の山東省で7MWの洋上風車設置を行うSEP起重機船。レグが6本の特徴的な船体なので見ただけで分かる方もいるかもしれません。この船は、2021年までベルギーの Jan De Nul が所有していた1,000トン吊りSEP起重機船「TAILLEVENT」が中国の山東海洋能源に売却されたもの。
ヨーロッパでは洋上風車の大型化に合わせて大型の設置船建造や既存船の改造による大型化を行い所有する設置船を再編する動きが見られますが、洋上風力事業でまだまだ後進国の日本では1,000トン吊りのSEP起重機船は大いに活躍できる。日本の企業が買い取るという選択肢は無かったのでしょうか。
船名 | 慧海壹号 (HUI HAI YI HAO) |
クレーン能力 | 1,000トン |
長さ | 138.55m |
幅 | 40.8m |
深さ | 10m |
レグ長さ | 73.57m、6本 |
DPS | DP Class 2 |
宿泊設備 | 112人 |
建造年 | 2011年 |
画像を見る限り特に改造されたような感じも無く船名は書き換えられていますが、そのままの状態で作業に使用されているようです。
最近、山東省の沖で設置された7MWの洋上風車は、Envision Energy の EN-200/7MW。ローター直径200m
こういう大型船の売却はどのように取引されているんでしょうか。Jan De Nul は公式ページに売却する意向を掲載していたので、それを見た中国企業側が購入の意思を伝えたのか、又はこういった売却に関して企業間を取り持つブローカー的な第3者がいるのか気になります。
設置船も足りないけど人も足りない!?
中国企業に売却されたSEP起重機船「TAILLEVENT」は当然ですが船だけの状態。操作していた乗組員は含まれていません。
The sale includes the vessel only, with the crew deployed to other Jan De Nul vessels.
(販売には船のみが含まれ、乗組員は他の Jan De Nul の船に配備されています。)
Jan De Nul sells its Jack-Up Installation Vessel Taillevent | Jan De Nul
Jan De Nul は洋上風車大型化に伴い、所有する船舶を再編成するため同時に2隻の大型設置船を建造しています。SEP起重機船「TAILLEVENT」の売却を発表した記事にも乗組員は他の船に配置されると書かれているように、船を建造すればその船を動かす人が必要になるという問題が出てくる。解決方法としては、新船建造に合わせて新しく人を雇って増員するか、既存船の隻数を減らして現状の人員で建造した船を動かすか。特殊な作業船を扱える技量を持った人を新規で探してくるというのは非常に難しい事なのかも。
日本でも洋上風車建設に向けた新船の建造が行われていますが、人員の確保は出来ているのでしょうか。長期的な視点で人材を育成する体制を整えることは、新船を建造することと同様に重要なことかもしれません。
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