大成建設がコンクリート製セミサブ型浮体式基礎「OO-STAR」でAiP取得

出典:TAISEI CORPORATION
2025年11月27日、大成建設はコンクリート製セミサブ型浮体式基礎「OO-STAR」に関するAiP(Approval in Principle:基本設計承認)を日本海事協会(ClassNK)から取得したことを発表しました。
取得したAiPは、15MW級風力タービン対応のコンクリート製セミサブ型浮体式基礎「OO-STAR」の設計が対象。センターシャフトと3つのコーナーカラムで構成されるセミサブ型浮体で、係留は合成繊維索を用いたセミトート係留を採用。浮体式基礎の主材料にコンクリートを用いることで、材料供給の安定性、地産地消による地域経済への貢献、ライフサイクル全体でのCO2排出量削減などの利点を有している。
2025年8月8日の洋上風力産業競争力強化に向けた官民協議会では「洋上風力産業ビジョン(第2次)」として、2040年までに15GW以上の浮体式洋上風力発電の案件を形成するとともに、2029年度を目途に大規模浮体式洋上風力発電の案件を形成するという政府目標が掲げられました。2030年代から期待される浮体式洋上風力発電の急速な導入拡大を見据え、大成建設はコンクリート製セミサブ型浮体式基礎「OO-STAR」の技術開発を進めてきたという。
- 基礎の製作に造船ドックを必要とせず、一定規模の製造ヤードで製作可能
- ポンツーンの寸法を調整して喫水を小さくすることができ、岸壁での風車組立までの一連施工が可能
- 他のセミサブ型浮体式基礎と比べて、カラム天端のブレス等の細かい補強部材がないシンプルな構造のため、製造性に優れる
大成建設は今回のAiP取得と並行して国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発」に参画しており、コストダウン等を目的とした設計技術の開発や年間25基以上を製造可能とする急速量産技術の開発に取り組んでいる。
トート係留とは、水深250m以深で一般的に使用され、合成繊維やワイヤーロープなど軽量の係留索を使用する係留方法。係留索は海底面に接地しておらず、係留索の伸縮によって復元力が生まれる。カテナリー係留に比べ、海底のフットプリント(係留システムが海底に占める面積)が格段に小さくなる。
出典:RWE(https://jp.rwe.com/floating-offshore-wind/floating-wind-education/)
2022年に「OO-STAR」の開発を目的としたMOU(覚書)締結
「OO-STAR」は、ノルウェーのDr. Techn. Olav Olsenによって開発された、特許取得済みの「半潜水式風力発電機用コンクリート製基礎構造体」。「OO-STAR」の特許は、Bouygues Travaux Publicsの傘下であるFloating Wind Solutions(FWS)に譲渡されている。
2022年12月19日、大成建設はBouygues Travaux PublicsおよびDr. Techn. Olav Olsenと日本の洋上風力発電市場における浮体式基礎「OO-STAR」の開発を目的としたMOU(覚書)締結を発表。
MOU締結は、大成建設が日本の浮体式洋上風力発電市場におけるEPCコントラクター(設計、調達、建設一括請負業者)として主導的な地位を確立するための大きな一歩になるとした上で、Dr. Techn. Olav OlsenとBouygues Travaux Publicsが有するエンジニアリング事業及び建設事業の実績と大成建設が有する総合力および日本市場でのノウハウを融合させることで、「OO-STAR」の設計および施工を最適化。浮体式洋上風力発電事業において革新的で競争力のある総合的なソリューションの創出を目指すという。


















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