「新日丸」知床半島沖へ向かう
知床半島沖で観光船が沈没した事故で、海上保安庁は船の中に取り残されている可能性がある行方不明者の捜索のため、海上保安庁は「日本サルヴェージ」と契約。その費用は8億7700万円に上るということです。
その「日本サルヴェージ」から委託された深田サルベージ建設の「新日丸」が2022年5月2日、鹿児島を出港し、知床半島へ向け移動中。
さっそくAIS情報を検索。
画像取得時の現在位置は、山口県 角島沖の日本海を13.8ノットで航行中。
AIS情報によると北海道沖への到着予定時刻は2022年5月6日の17時。
到着予定は5月6日の17時
あの位置からあと3日もかかるのか?とたくさんの方が思うでしょう。
なので検証してみましょう。
AIS情報を確認した位置から北海道の知床半島まで1,964km。これをマイル(海里)に換算すると
1,964km ÷ 1.852km = 1,060マイル になります。
AIS情報で確認できる「新日丸」の速力は13.8ノット。
1ノットで1時間走ると1マイル(海里)進むので、
1,060マイル ÷ 13.8ノット ≒ 77時間 = 3日と5時間
AIS情報を取得したのが5月3日の15時30分、ここに77時間を足すと5月6日の20時30分。
少し、予定より遅い結果になってしまいましたが、この距離で3時間は誤差の範囲。「新日丸」の巡航速度は15ノットなので、気象海象が良ければ予定通りくらいには到着するはず。
それにしてもわざわざ日本の真反対に位置する鹿児島の「新日丸」を北海道へ向かわせるとは。何か意味があるんでしょうか。
鹿児島から北海道だと太平洋側を通航したほうが効率的な気がしますが、気象海象を考慮してのルートかどうかはわかりません。津軽海峡で太平洋側へ行くと思いますが。
「新日丸」でROV「はくよう」を使用か⁉
深田サルベージ建設のHPに公開されている「新日丸」のページを見ると、特徴として”DPS搭載”、”多目的作業船”、”ROV「はくよう」母船” と記載があります。
報道でよく聞く、”知床半島沖の事故現場は潮の流れが速く、複雑”という言葉。海底で何らかの作業をする前提として、海上の母船は同じ位置に保持していないと話になりません。それは潜水士による作業でもROVなど無人探査機でも同じこと。なのでDPS搭載船で作業することは当然。
次に”ROV「はくよう」母船”と記載があるので、調査の初段としてはリスクの高い潜水士による調査ではなく、ROV「はくよう」を使用することが推測できる。
「はくよう」には、ライトやカメラ、スラスターと呼ばれる推進器、各種センサーが搭載されている。さらに、マニュピレータと呼ばれるロボットハンドが2本あり、この腕を使用して様々なものを回収することが出来る。
「新日丸」の概要
船名 | 新日丸 |
総トン数 | 697トン |
長さ | 61.01m |
幅 | 11.80m |
深さ | 5.45m |
巡航速力 | 15.0ノット |
定員 | 40名 |
建造年 | 2013年10月 |
所有会社 | 深田サルベージ建設株式会社 |
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