双胴船の船体を持つ大型甲板運搬船「风海达」進水
2023年6月3日、中国の造船所で双胴船の船体を持つ大型甲板運搬船「风海达」(Feng Hai Da)が進水しました。船体寸法は全長139.8m、幅41m、有効甲板長は123mで5,000m2の広大なデッキスペースがあり、載貨重量トン数は15,000トン。自航式となっており速力は12ノット、DP2の自動船位保持装置を搭載している。
「风海达」という船名を日本の漢字で表すと「風海達」。風に乗り、海に乗り、効率よく安全に運搬するという意味が込められているそうです。
最大の特徴は、船型に双胴船(カタマラン)を採用しているという点。単胴船に比べて安定性が高く、燃料消費量を抑えることができるという。その理由について中国の掲載記事では興味深い説明が書かれていました。
方振船业建造全球首款江海直达DP2多用途双体运输船下水
目前我国海上风电设备运输主要采用单体甲板货船,在运输过程中,单体甲板货船必须装载大量压载水以保证船舶的稳性。大量压载水的增加势必会加大运营船舶的排水量,降低运营船舶的航速,进而降低船舶的运营效益。
(方振造船、世界初の河川・海直通多目的双胴船「DP2」を進水)
(現在、我が国の洋上風力発電設備の輸送には主に単胴貨物船が使用されており、単胴貨物船は輸送過程で船の安定性を確保するために大量のバラスト水を積載する必要があります。 バラスト水が大量に増加すると、必然的に運航船の排水量が増大し、運航船の速度が低下し、運航効率が低下する。)
http://www.eworldship.com/html/2023/NewShipUnderConstrunction_0606/193097.html
双胴船が安定性に優れているのに対し、単胴船は安定性を確保するために大量のバラスト水を積載する必要がある。そのため船の排水量が増大し、速力が低下、結果として運航効率が低下するという。それに比べて双胴船は必要最低限のバラスト水で安定性が確保できるので燃料消費量を抑えることができる。双胴船の船体を持つ運搬船「风海达」は、同規模の積載能力がある運搬船と比べて4割以上も燃料消費量を削減するとしている。
風力タービン資材運搬をはじめ多目的な用途で活躍
船名 | 风海达 (Feng Hai Da) |
載貨重量トン | 15,000トン |
長さ | 139.8m |
幅 | 41m |
速力 | 12ノット |
DPS | DP2 |
運搬船「风海达」は喫水が小さく、多くの港での作業に対応可能で、さらに乾舷も小さいため港での積込作業ではSPMT(Self-Propelled Modular Transporter)を使用することができる。完成後は、風力タービンのタワー、ナセル、ブレードをはじめ、モノパイル、ジャケットや洋上変電所のモジュールなど多目的な運搬用途で活躍が期待され、フロートオーバー方式のトップサイド輸送・設置にも対応しているそうです。
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