MODECと東洋建設がTLP方式の浮体式洋上風力設備でAIP取得
2024年5月21日、三井海洋開発(MODEC:Mitsui Ocean Development & Engineering Company)と東洋建設は「TLP方式の浮体式洋上風力発電設備における浮体・係留システム」に関する基本設計承認(AiP:Approval in Principle)を日本海事協会(ClassNK)から取得したと発表。
AiPの対象範囲は風車本体を含まない支持構造物部で、浮体及び係留における係留索やコネクターを三井海洋開発、係留における杭基礎を東洋建設という所掌範囲。
今回のAiP取得は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)により、三井海洋開発と東洋建設に加え、古河電気工業、JERAとともに採択されたグリーンイノベーション基金事業の一環である「低コストと優れた社会受容性を実現するTLP方式による浮体式洋上発電設備の開発」の開発項目の一つにあたる一体設計技術に関する成果だという。
三井海洋開発は、2020年に浮体式洋上風力発電設備に関するAiPをDNVからも取得しており、今回のClassNKでのAiPを取得は日本国内でおこなう実証を見据え、実証時に必要となるウィンドファーム認証(WF認証)及び船級検査に係る審査の一部を先取りして実施することを目的としている。今回のAiP取得にあたり、地震や津波に代表される日本特有の環境条件における検討も実施した上で、有識者からの意見や今後の開発や設計に資するClassNKからの意見を実証試験時の検討に反映するとしています。
TLP方式の浮体係留方法とは?
TLP(Tension Leg Platform)方式は、海底に設置した基礎(反力)との緊張係留により浮体を係留する方式。
波浪中における浮体の高い安定性から大型風力タービンをコンパクトな浮体に搭載することが可能で、発電コストの低減が期待されている。TLP方式の係留索は、高把注力アンカーなどのカテナリー係留方式に比べて海面下での占有面積を抑えることができ、漁業や船舶運航など既存事業への影響をより小さくする効果に加えて、洋上風力タービン設置時のレイアウトを考えると同じ設置面積の場合、従来の方法に比べてより多くのタービン配置が可能になる。
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