南アフリカ西部沖で荒天により傾いた貨物船が座礁、乗組員は全員救助
2024年7月8日早朝、南アフリカの西部沖を航行していた貨物船「ULTRA GALAXY」が荒天による波浪で船体が大きく傾斜する事態が発生。
南アフリカ海上保安庁(SAMSA,South African Maritime Safety Authority)によると、7月8日午前3時(現地時間)にDoring Bayの西約60海里(約111km)で貨物船「ULTRA GALAXY」のE-PIRB(Emergency Position Indicate Radio Beacon:非常用位置指示無線標識装置)の警報が検知されたため、直ちに対応し救助活動を開始。
現場付近を航行していた貨物船「MV Fivos」、「MV Rio Grande Express」、漁船「Malachite」が要請を受けて救助支援のために現場へ迂回。現場付近で救命いかだを発見し、乗組員18人(全員フィリピン人)が乗船していることを確認。すぐに救助活動がおこなわれ、全員の無事が確認されたという。
事故当時、貨物船「ULTRA GALAXY」は6月13日にスペインのマラガを出港し、7月22日にタンザニアのダル・エス・サラームに到着する予定でした。当時の気象状況は風速12ノット(6.2m/s)、波の高さは最大5~6メートルだったそうです。
貨物船「ULTRA GALAXY」の予定経路であるスペインからタンザニアのルートを考えると、他に経由地が無ければスエズ運河を通るルートが最短であることは一目瞭然。紅海周辺でのリスクが今回の事故を引き起こした要因のひとつになっているとも考えられる。
傾斜した船体は無人の状態で漂流し沿岸近くに座礁
乗組員の救助翌日にあたる7月9日、無人になった貨物船「ULTRA GALAXY」は漂流し、沿岸近くで座礁したことが確認されています。
南アフリカ海上保安庁によると、貨物船「ULTRA GALAXY」には燃料油や油圧用の作動油の他に袋詰めされた肥料が貨物として積まれているという。
7月12日更新された情報では、ほぼ横向きの状態で打ち上げられた貨物船「ULTRA GALAXY」の画像が掲載されており、燃料油などの油脂類と貨物の回収に向けて作業船が集められているものの荒天による波浪で作業が進んでいない状態。荒天が収まり次第、作業を開始する予定。一方で、付近海岸の漂着物を除去する作業は開始されているという。
来週まで荒天が続く予報となっているため、燃料油や積荷の回収前に船体が大きく破損し、被害が拡大することが懸念される。
貨物船「ULTRA GALAXY」
船名 | ULTRA GALAXY |
総トン数 | 10,021トン |
載貨重量トン | 13,802トン |
長さ | 124.56m |
幅 | 21.2m |
深さ | 14m |
船籍 | パナマ |
建造年 | 2008年9月 |
出典:MarineTraffic | P u I Walden
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