15MW以上の風力タービン設置を目指す浮体式洋上風力プロジェクト

2025年6月23日、Ocergyは2028年にOCG-Wind浮体式洋上風力発電システムへ定格出力15MW以上の最新世代タービン設置を目指すプロジェクト「REduced COmmercial Risks with Demo of 15+ MW」(RECORD15)の開始を発表しました。
パイロットプロジェクト「RECORD15」について、Ocergyは国際的な洋上風力発電開発企業であるEnBW、九電みらいエナジー、東京電力リニューアブルパワーの3社とFEED契約を締結したという。
Ocergyは「RECORD15」で製造・組立から安全な運用を実証することにより、2020年代初頭にヨーロッパで予定されている複数の商用化前プロジェクト、およびその後のヨーロッパとアジアにおける数GW規模のプロジェクトに向け、最終的な技術的・財政的障壁を取り除くことになると述べています。
FEEDとは、Front End Engineering Designの略で、プロジェクト立ち上げ段階の概念設計や実現可能性に関する評価・検証の後におこなわれる基本設計のこと。プロジェクトにおけるリスク、課題、及び費用を精査する為におこなわれる。
OCG-Wind

OcergyのプラットフォームであるOCG-Windは浮体式風力発電設備の浮体基礎で、風力タービンに依存しない革新的なモジュール設計を採用している。工場で製造した輸送可能な部材を現場で最終組み立てするプレファブリケーションにより組立プロセスを最適化。既存のサプライチェーンとインフラを活用し、量産することで商業化と大規模な展開を可能するという。
三角形の頂点と中央の合わせて4つの柱を組み合わせたセミサブ型浮体式風力基礎となっており、外周の柱は上端と下端をプリテンションがかかった管状の構造要素(テンドン)で連結するテンセグリティ構造。浮体基礎は、鋼鉄製であるため、コンクリート製構造よりもはるかに軽量で設計寿命後にリサイクル可能という点も大きな特長のひとつ。
OcergyがLinkedInに投稿した内容によると、3MWバージョンのOCG-Windは2025年秋後半にアバディーン沖のCulzean platformに設置・接続される予定。Culzean platformは、スコットランドの東海岸から220km沖合に位置しており、TotalEnergiesは洋上石油・ガスプラットフォームCulzean platformの西2kmに3MWの浮体式風力タービンを設置するパイロットプロジェクト「Culzean floating turbine project」を進めている。浮体式風力タービンからの再生可能エネルギー発電とガスタービンからの既存の発電を統合することで、洋上施設における発電ハイブリッド化の概念を証明することを目的としているという。設置した浮体式風力タービンがフル稼働するとCulzean platformで消費する電力需要の約20%を供給する。
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