Cadelerが台湾のFormosa 4で風力タービン設置の契約締結
2025年8月22日、Cadelerは台湾の「Formosa 4 Offshore Wind Farm」で14MW風力タービン35基の輸送および設置について、Synera Renewable Energy(SRE)と正式契約を締結したと発表しました。
風力タービンの輸送・設置作業は2028年3月に開始される予定。
「Formosa 4 Offshore Wind Farm」は、台湾北西部の苗栗県(Miaoli County)沖合18~20kmに位置しており、水深57~64m。基礎はジャケット式で35基の風力タービンを設置する計画。発電容量は495MW。
M-ClassのSEP起重機船による風力タービン設置
「Formosa 4」での風力タービン設置には、Cadelerが所有するM-ClassのSEP起重機船を動員することが明らかにされています。
Cadelerは2025年8月時点で8隻のSEP起重機船を保有しており、4隻のSEP起重機船を建造中。動員予定となっているM-ClassのSEP起重機船は、2025年1月に引き渡しがおこなわれた「Wind Maker」と建造中の「Wind Mover」。2隻とも韓国のHanwha Oceanで建造。M-Classの2隻は2023年にEnetiとの合併によりCadelerへ加わっており、Eneti建造時の船名は「nessie」と「siren」。
現在、建造中の「Wind Mover」は2025年第4四半期引き渡し予定なので、2028年3月からの風力タービン設置作業開始には余裕を持って間に合うスケジュールとなっているため2隻のうち、どちらのSEP起重機船を動員するのか不明。
既に保有しているSEP船(8隻)
船名 | Class名称 | クレーン能力 |
---|---|---|
Wind Orca | O-class | 1,600トン |
Wind Osprey | O-class | 1,600トン |
Wind Scylla | ― | 1,540トン |
Wind Zaratan | ― | 800トン |
Wind Peak | P-class | 2,600トン |
Wind Pace | P-class | 2,600トン |
Wind Maker | M-class | 2,600トン |
Wind Keeper | ― | 2,200トン |
建造中のSEP船(4隻)
船名 | Class名称 | クレーン能力 | 完成予定 |
---|---|---|---|
Wind Apex | A-class | 未公表 | 2027年上半期 |
Wind Ace | A-class | 3,000トン以上 | 2026年第3四半期 |
Wind Ally | A-class | 2,600トン | 2025年第3四半期 |
Wind Mover | M-class | 2,600トン | 2025年第4四半期 |
この契約によるCadelerの収益は約130億円
The T&I operations are set to commence in March 2028 and will last approximately 150 days. The revenue from this contract to Cadeler is projected to be between EUR 70 and 80 million.
(T&I作業は2028年3月に開始され、約150日間続きます。本契約によるCadeler社の収益は、7,000万~8,000万ユーロと見込まれています。)
出典:Cadeler | Cadeler signs firm contract with Synera Renewable Energy for WTG Installation at the Formosa 4 Offshore Wind Farm in Taiwan(https://www.cadeler.com/news/cadeler-signs-firm-contract-with-synera-renewable-energy-for-wtg-installation-at-the-formosa-4-offshore-wind-farm-in-taiwan)
Cadelerのプレスリリースによると、「Formosa 4」での14MW風力タービン35基の輸送・設置に関するSynera Renewable Energyとの契約で収益は7,000万~8,000万ユーロ、日本円に換算すると119~136億円になるという。
収益という意味の ”revenue” は、日本語の翻訳から想像する利益(profit)という意味ではなく、コストや諸経費を差し引く前の ”売上” を指していると思われます。それにしても、150日間の作業で約130億円とは、改めて数字で見るとスケールの大きなプロジェクト。
金額の大部分はSEP起重機船の回航や稼働に伴う損料だと思いますけど、他には風力タービン輸送に関する部材の架台設置撤去や吊具なども含まれているのかもしれません。
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