韓国で建造中のSEP起重機船「Wind Mover」海上公試完了

韓国で建造中のSEP起重機船「Wind Mover」海上公試完了 洋上風力発電
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韓国で建造中のSEP起重機船「Wind Mover」海上公試完了

韓国のHanwha Oceanは、Cadeler向けに建造しているM-class2隻目のSEP起重機船Wind Mover」(建造番号 No.3307)が海上公試(SEA TRIAL)を完了したと発表しました。2025年第4四半期に引き渡し予定なので完成間近。

SEP起重機船「Wind Mover」のAIS情報によると、2025年10月24日に韓国南部の巨済市にあるHanwha Ocean 巨済造船所を出港し、対馬沖周辺で海上公試を実施。そして、11月5日に帰港。対馬にかなり接近した位置で海上公試をおこなっていたことに少し驚き。確認できるAISの航跡と日本の領海(12海里、22.224km)範囲の図を重ね合わせてみると、ギリギリ領海には入っていないようでした。無害通航権の範囲に該当すると思われるので領海内を航行しても問題は無いんでしょうけど・・たぶん。

領海等に関する用語の範囲
  • 領海:基線から12海里(22.224km)
  • 接続水域:基線から24海里(44.448km)
  • 排他的経済水域(EEZ):基線から200海里(370.4km)
  • 公海:領海、排他的経済水域に含まれない海洋のすべての部分。すべての国に開放され、すべての国が航行,上空飛行、漁獲、海洋の科学的調査など公海の自由を享受する
排他的経済水域とは?

 排他的経済水域(EEZ,Exclusive Economic Zone)とは、海洋法に関する国際連合条約に基づいて設定される自国の基線(海)から200海里(370.4km)の範囲。海上・海中・海底、及び海底下に存在する水産・鉱物資源並びに、海水・海流・海風から得られる自然エネルギーに対して、探査・開発・保全及び管理を行う排他的な権利(他国から侵害されない独占的に行使できる権利)を有する。

無害通航とは?

 無害通航(Innocent passage)とは、沿岸国の平和・秩序・安全を害さない事を条件として、沿岸国に対して事前通告無しで沿岸国の領海を外国船舶が通航する事を指す。当然の権利として国際海洋法においては、内陸国を含め全ての国の船舶は、他国の領海において無害通航権を有するものとされる。

SEP起重機船「Wind Mover」

SEP起重機船「Wind Mover」
出典:Hanwha Ocean

CadelerのM-class2隻目として建造中のSEP起重機船「Wind Mover」。

「Wind Mover」の船体は「NG-16000X」というGusto MSCによる設計を採用。船体寸法は長さ194m、幅56m、深さ11.5m、レグ長さ109m、最大作業水深65m。メインクレーンはHuisman製で最大吊り上げ能力2,600トン、甲板面積は5,000m2、甲板強度は10トン/m2。DP2のダイナミックポジショニングシステムを搭載。

船名Wind Mover
クレーン能力2,600トン
長さ194m
56m
深さ11.5m
レグ長さ109m
最大作業水深65m
プロペラ(船尾)アジマススラスター 3.5MW×4基
(船首)トンネルスラスター 3MW×1基
(船首)格納式アジマス 3.5MW×2基
速力9.5ノット
DPSDP2
メインデッキ5,000m2、10トン/m2
宿泊設備84室、最大130人
船籍マーシャル諸島

CadelerのSEP船 建造状況

船名建造番号クレーン能力着工起工進水引き渡し(予定)
Wind Peak
(P-class①)
N10632,600トン2022年6月2023年7月2024年1月竣工 2024年8月
Wind Pace
(P-class➁)
N10642,600トン2023年2月2024年2月2024年6月竣工 2025年3月
Wind Ally
(A-class①)
N11303,300トン2023年9月2025年1月竣工 2025年9月
Wind Ace
(A-class➁)
N11313,000トン以上2024年7月2025年9月(2026年第3四半期)
Wind Apex
(A-class③)
N1149未公表2025年7月(2027年上半期)
Wind Maker
(M-class①)
No.33062,600トン2024年3月2024年6月竣工 2025年1月
Wind Mover
(M-class➁)
No.33072,600トン2024年11月(2025年第4四半期)

P-calssの2隻およびA-classの3隻は、中国のCOSCO SHIPPING HEAVY INDUSTRYで建造。M-classの2隻は、韓国のHanwha Ocean(旧 大宇造船海洋:DSME)で建造。

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