フィリピンのミンドロ島沖で転覆・沈没した小型タンカー「M/T Princess Empress」の調査が多目的作業船「新日丸」に搭載されているROV「はくよう」を使用して行われ、水深395m付近の海底で発見されました。
フィリピン沖で沈没したタンカーの調査「新日丸」のROVで支援
2023年2月28日、小型タンカー「M/T Princess Empress」がフィリピンのミンドロ島から東へ約20km沖合で転覆・沈没する事故が発生。タンカーはマニラ湾のリマイ(Limay)を出港してパナイ島南部のイロイロ(Iloilo)へ向かう途中、荒天に見舞われ沈没したと見られている。乗船していた20人の乗組員は救助されて全員無事でしたが、タンカーには80万リットルの油が積載されていたため転覆・沈没により大量の油が付近の海域に流出する事態となっている。
3月22日に油の流出対応や沈没したタンカーの調査を行っているフィリピン沿岸警備隊は、日本のDPを搭載した多目的作業船「新日丸」を母船とするROV「はくよう」により水深395m付近の海底で発見された小型タンカー「M/T Princess Empress」の船首部分を撮影した画像を公開。
深田サルベージ建設が保有しているROV(Remotely Operated Vehicle)と呼ばれる遠隔操作型の無人潜水機には、潜水深度3,000mまで作業ができるものもありますが、今回使用されたROV「はくよう」の潜水深度は2,000mまでのものだそうです。
多目的作業船「新日丸」、ROV「はくよう」は、昨年起きた知床観光船沈没事故において観光船「KAZUⅠ」の引き揚げ作業での活躍が記憶に新しい。
日本政府も国際緊急援助隊・専門家チームを派遣
フィリピン共和国ミンドロ島沖における油流出被害に対する国際緊急援助隊・専門家チームの派遣
フィリピン共和国ミンドロ島沖における油流出被害に対する国際緊急援助隊・専門家チームの派遣|外務省 (mofa.go.jp)
3月8日、日本政府は、フィリピン共和国ミンドロ島沖で転覆・沈没した小型タンカーからの油流出被害に際し、フィリピン政府に対して、油防除の助言を行う国際緊急援助隊・専門家チームを派遣することを決定。
国際緊急援助隊・専門家チームは、在フィリピン日本国大使館、海上保安庁及び国際協力機構の職員計8名で構成され、フィリピンにおいて被害状況の調査を支援するとともに、現行の油防除作業に対して指導及び助言を行う予定。
沈没した原因
事故を報道するニュース記事を見ると、事故の原因は荒天によるものということですが、少し気になる点があるようです。
「M/T Princess Empress」自体は2022年に建造されているようですが、新造船という訳ではなく元船となっているのがLPG運搬船「MT dorothy uno」という50年前に建造され廃船になった船だという。正規の手順を踏んで改造されているのならば問題なさそうですが、そうではないのかも。
引き揚げを行うのかどうかなど今後の方針も気になりますが、実情として油流出の被害が拡大しない手段と流出した油の回収を含めた被害回復を急がなければなりません。
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