石垣島沖で座礁した貨物船の撤去 間もなく開始
2023年1月24日に沖縄県の竹富町浜島沖で座礁したパナマ船籍の貨物船「XIN HAI ZHOU 2」撤去作業が7月13日から開始されるという。
これまでに報道されている情報によると、船内に積まれていた燃料の抜き取りは完了しているとのことですが、座礁した貨物船には1万トン以上のウッドチップが積荷として積まれており、座礁時に破損した船体からおよそ4千トンの積荷が海に流出した可能性があり、海底に堆積しているという。
2024年2月の撤去完了を予定
7月10日に八重山合同庁舎でおこなわれた説明会では関係機関が出席する中、撤去作業を委託された日本サルヴェージから撤去方法や工程について説明があったという。
船体の「3番船倉」に損傷があり、その亀裂から積荷の多くが流出。ですが、依然として船内には多くの積荷が残っている状態で、まずは船体の軽量化を図るため積荷などの撤去をおこない、除去した積荷を石垣港まで運ぶ作業がおこなわれるという。その後、船体の撤去方法として船首側と船尾側に分断し、12月までに船尾分の撤去、来年1月までに船首部分の撤去を目指す。
- 2023年
7月13日撤去作業開始船体軽量化のため、積荷や搭載物を撤去
- 12月までに船尾部分の撤去
- 2024年
1月までに船首部分の撤去 - 2月撤去完了(予定)
船体分割位置と撤去方法
船体の分割位置については船尾からおよそ3分の1にあたる部分ということなので、この位置が損傷の大きな部分なのかもしれない。撤去方法は、船体の3分の2にあたる船首ブロックを浮上・曳航、船尾ブロックに関してはその場で解体・小運搬により撤去するという。
貨物船「XIN HAI ZHOU 2」の概要
船名 | XIN HAI ZHOU 2 |
船籍 | パナマ |
総トン数 | 8,461トン |
載貨重量トン数 | 13,567トン |
長さ | 140m |
幅 | 20m |
建造年 | 2008年 |
パナマ船籍の貨物船「XIN HAI ZHOU 2」は、総トン数8,461トン、全長140m、幅20m。
甲板上には、荷役用の2つのクレーンを搭載しており、中国の舟山にある造船所で2008年に建造。
座礁場所は日本最大のサンゴ礁海域「石西礁湖せきせいしょうこ」
貨物船が座礁した場所は、石垣島と西表島の間に広がる南北約15km、東西約20kmに及ぶ「石西礁湖」と呼ばれる日本最大のサンゴ礁の海域。
座礁しているので船体の接触により、すでに多くのサンゴ礁が潰されてしまっている可能性があります。ですが、これについてはサルベージ作業を委託された日本サルヴェージにはどうしようも出来ないこと。問題になるのは、現在影響を受けていないサンゴ礁をいかに傷つけず作業を進めるかという点。
環境面への配慮については、環境省と調整しながら周辺のサンゴ礁に影響が出ないよう工事を進めるとのこと。座礁した大型貨物船撤去というハードルをさらに高くする環境への配慮という問題。そして、これから到来する台風シーズンの天候にも悩まされることが予想され、難易度の高いミッションになりそうです。
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