大阪湾に迷い込んだクジラ死亡確認
2024年2月19日、大阪湾に迷い込んだクジラについて専門家が状態を調査した結果、死んでいることが確認されたという。クジラは体長約12m、重さ約20トンのマッコウクジラとみられている。
クジラは1カ月以上前の先月12日に神戸市の六甲アイランド沖で目撃された後、兵庫県西宮市の沿岸や岸和田市の沖合、大阪・関西万博の会場となる夢洲周辺などで確認されたあと、堺市の堺泉北港に留まったままになっていました。
クジラの死因は餓死、今後の死骸処理方法は・・
迷い込んだクジラは、2カ月以上に渡り十分な餌を食べていないことから体温が低下。専門家によると、死因は餓死とみられているそうです。
今後、大阪府はクジラの死骸処理方法について近くの地中に埋めるか、海の底に沈めるか、いずれかの方法で処理することを検討。
淀ちゃん処分費用は8,000万円以上
クジラの死骸を放置すると周囲に悪臭が放たれるだけではなく、体内に溜まったガスが爆発する恐れもある為、そのままにしておくことは出来ない。クジラの処理方法としては焼却、土中への埋設、海洋投棄が考えられる。
今回、死亡が確認されたクジラの体長は約12m、重さ約20トン。大きな個体では焼却することが困難であることから土中への埋設、海洋投棄といういずれかの方法で処理が検討されているようです。
「淀ちゃん」は30トンの重りと共に紀伊水道沖の海底へ沈められた
昨年の2023年1月9日に大阪湾の淀川河口で発見され、4日後の13日に死亡確認されたマッコウクジラ「淀ちゃん」は、ガス抜きの後に学術調査を実施。そして、1月19日に底開式の土運船に載せられた状態で紀伊水道沖へ曳航後、約30トンのコンクリートブロックと共に海底へ沈められました。「淀ちゃん」の体長は14.69m、体重はおよそ38トンでオスのマッコウクジラだった。
「淀ちゃん」の死骸処分に要した費用は合計で8,019万円。実際の施工業者が作成した見積の詳細は不明ですが、大阪市の試算額と内訳項目は報道されていました。報道されている大阪市の合計試算額は8,063万円。金額の大きな内訳項目として、曳船作業費、土砂運搬船作業費、クレーン作業費、港内運搬作業費、コンクリート運搬費が挙げられており、そのうち4割以上を占めていたのは曳船作業費の3,328万円。
「淀ちゃん」を載せた土運船はそこまで大きくなかったので小さな曳船でも曳航出来そうな気がしますが、船舶安全法に基づく航行区域を考慮する必要がある。どのあたりまで土運船を曳航したのか分かりませんが、少なくとも曳航するボートの航行区域は沿海以上が必要。外洋の波浪に対する安定性から平水→沿海→近海という順で一般的には船体サイズが大きくなるため、施工上はオーバースペックとなるボートを選択せざるを得ない。それにしても3,328万円は高額な印象ですが、あくまでも大阪市の試算であって業者の見積もりではない。
クジラの処理方法「地中に埋設する」方針決定
2月19日夕方、大阪府は死亡が確認されたクジラの死骸について対策会議を開き、堺市西区の府が所有する埋め立て地で「地中に埋設する」方針を決定。
クジラの死骸からはすでに異臭が出始めており、船舶の往来にも危険を及ぼす可能性があることから、19日午後2時頃、近くの岸壁に船で曳航し移動を実施。
「地中に埋設する」方針を選択した理由として、現場での作業が短時間で済むことから安全かつ迅速に処理することが可能で骨格の標本として活用できることを挙げている。そして、何より沖合に曳航して海底に沈める海洋投棄と比較して処理費用を抑えることが出来る。
過去、2021年に大阪府泉大津市沖で見つかった体長約11.5mのニタリクジラは、堺市の埋め立て地に埋設されており、この時の処理費用は約900万円だったという。そして、約1年後に骨を掘り起こし、標本として大阪市自然史博物館に寄贈されている。今回の死亡が確認されたクジラについても、すでに大阪市自然史博物館から標本提供の申し出があるという。
よく読まれている記事