Heeremaが設置重量3万トン超えのフロートオーバー台船建造
2025年1月6日、Heerema Marine Contractorsは重量30,000トンを超える2GWの洋上変電所(OSS,Offshore Substations)トップサイド設置用にカスタマイズされた新しいフロートオーバーバージの納入について、TenneTとの契約締結および同船の建造を発表しました。
TenneTは2GWの送電容量を持つ14のHVDC(High Voltage Direct Current)洋上送電網接続システムをオランダとドイツにそれぞれ7つ、合わせて14以上設置する予定。重量30,000トンを超える洋上変電所トップサイド設置はフロートオーバーと呼ばれるクレーンで吊り上げることなく輸送船のみで設置する方法でおこなわれるため、オランダとドイツの電力網拡張に新しいフロートオーバーバージが不可欠になるという。
フロートオーバーによるトップサイド設置
フロートオーバーによるトップサイド設置について、いくつか当ブログでも記事で取り上げていますが、20,000トンを超える施工事例はありません。世界的にフロートオーバーによる設置作業で何トンが最大重量なのか気になるところですが、さすがに30,000トンを超えるものはこれまでにも無いような気がします。
参考までに当ブログで取り上げたフロートオーバーによるトップサイド設置の記事を調べてみました。
プロジェクト | 重量 | 船名 | 施工日 | リンク先 |
---|---|---|---|---|
恩平20-4 | 15,000トン | 海洋石油278 | 2023年5月 | |
Jerun-A | 14,000トン | Forte | 2024年3月 | |
惠州26-6油田 | 17,000トン | 海洋石油228 | 2024年5月 | |
アル・シャヒーン油田 | 17,818トン | Forte | 2024年9月 |
フロートオーバー以外の重量30,000トンを超えるトップサイド設置方法
現在、世界最大のクレーン船「Sleipnir」でもタンデムリフトで最大吊り上げ能力は20,000トンであるため、30,000トンを超える重量のトップサイドをクレーンで設置することは難しい。ですが以前、Heeremaは ”QUAD lifting” という半潜水式クレーン船2隻の相吊りによるシュミレーション動画を掲載しており、20,000トン吊りの「Sleipnir」と14,200トン吊りの「Thialf」による ”QUAD lifting” であれば吊り上げ能力は合わせて34,200トンとなり、30,000トンのトップサイド設置は可能かも。
今回、Heeremaが発表した重量30,000トンを超えるフロートオーバーバージの建造は、”QUAD lifting” に代わる施工方法の提案だったのかもしれません。
その他の方法として、クレーンではありませんがAllseasが所有する「Pioneering Spirit」は、容量48,000トンのトップサイドリフトシステム(TLS)を搭載しており、重量30,000トンを超えるトップサイド設置は可能。TLS容量を60,000トンへアップグレードする予定ですが、まだ完了したという情報は出ていない。
よく読まれている記事