世界の洋上風力建設に使用されているIQIP製品
着床式洋上風力タービン基礎としては一般的なモノパイルの打設に必要な機材はいくつかありますが、FPUT(Flanged Pile Upending Tool)と呼ばれるモノパイルを建て起こす動作と吊り上げをおこなうための吊具もそのうちの1つ。
中でも、オランダのIQIPは油圧ハンマーなどの杭打設機械をはじめ、関連するハンドリング機器や吊り上げ機器の設計・製造を手掛けており、その製品は洋上風力の現場で世界的に使用されている。
日本の清水建設が建造したSEP起重機船「BLUE WIND」が初現場の「入善洋上風力発電所」で使用した油圧ハンマー「S-2000」、パイルガイドツール(PGT,Pile Guiding Tool)やフランジ付きパイル建て起こしツール(FPUT,Flanged Pile Upending tool)もIQIPの製品。
最大重量2,450トンのモノパイルに対応した建て起こしツール
出典:IQIP
清水建設のSEP船「BLUE WIND」が使用しているFPUTの最大吊り上げ重量は750トンですが、IQIPのラインナップで最大のFPUTは、重量2,450トンのモノパイル建て起こしと吊り上げが可能。そして、この世界最大のFPUTは既にヨーロッパで使用実績があるという。
出典:DEME
出典:Dogger Bank Wind Farm
IQIPの掲載記事によると使用された現場は「Arcadis Ost」、「Dogger bank」の2件。「Arcadis Ost」では5,000トン吊りクレーン船「Orion」、「Dogger bank」では1,500トン吊りSEP起重機船「INNOVATION」がそれぞれモノパイル打設時にIQIPのFPUTを使用している。
さらに、記事の中では今夏、北海で3度目の使用が予定されているという。どの現場なのかは明記されていませんが、先日、中国を出港した「Seaway Alfa Lift」が遅ればせながら「Dogger bank」風力タービン基礎の施工に加わるというウェブ上の記事もあったので、そこで使用されるのかもしれません。
巨大な3,000トン シャックル
出典:GN Rope Fittings
GN Rope Fittings Sets New World Record for Largest Forged Shackle
Commissioned by IQIP, the shackle will be part of a system for the monopile installation of offshore wind turbines.(抜粋)
(GN Rope Fittingsが最大の鍛造シャックルの新世界記録を樹立)
(IQIP の委託により、このシャックルは洋上風力タービンのモノパイル設置システムの一部となります。)
https://www.oceannews.com/news/milestones/gn-rope-fittings-sets-new-world-record-for-largest-forged-shackle
2023年6月1日に掲載された記事なので少し前ですが、興味深い記事がありました。なんと、オランダのGN Rope Fittingsという企業が使用荷重3,000トンの巨大シャックルを製造したという。そして、納品先はIQIP。
FPUTでは、モノパイルを建て起こすという動作に対して大きなシャックルピンを軸にして吊荷の回転に対応するものが多くあります。なので、2,450トンのFPUTに3,000トンシャックルが使用されるのかと思いましたが、違うようです。
出典:IQIP
2,450トンのFPUTでは、ピン構造の上部にクレーン側の玉掛けする部分があり、シャックルは使用せず吊具を直で掛ける仕様になっていました。なので3,000トンシャックルの使用用途は不明。
ちなみに、GN Rope Fittingsに掲載されている製品カタログを見ると、3,000トンシャックルの重量は5,800㎏、約6トンあるそうです。カタログ上では、4,000トンシャックルの仕様まで記載があり、重量は7.2トン。いつか製造される日が来るのかもしれません。
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