水素燃料CSOV「Windcat Rotterdam」引き渡し

出典:Windcat
2025年8月26日、Windcatは水素とディーゼルのDF(dual fuel)エンジンを搭載したCSOV「Windcat Rotterdam」を正式に発表しました。
Windcatのプレスリリースによると、ベトナムのHa Long Shipyardで建造されたCSOV「Windcat Rotterdam」は、先月の7月24日に引き渡しがおこなわれたという。
「Windcat Rotterdam」は、CSOV(Commissioning Service Operation Vessel)と呼ばれる洋上風力発電プロジェクトなどにおける建設、試運転、保守作業を支援する船舶。最大120人を収容する船室、DYNPOS(AUTR)(IMOのclass2相当)という自動船位保持装置に加えて、波浪の影響を低減する動作補償機能の付いたクレーンやタラップを搭載している。
6隻のCSOVを建造予定

Damen ShipyardsはWindcatと2022年に最初の建造契約をおこない、これまでに合計6隻のCSOV建造契約を締結。最後の建造契約は2024年半ばに締結されたという。建造するのは「Elevation Series」と呼ばれるCSOVで、6隻すべてをベトナムのHa Long Shipyardで建造する予定。
CSOV「WINDCAT ROTTERDAM」は、建造予定の6隻のうち1隻目にあたる。
水素燃料CSOV「Elevation Series」


出典:Windcat
CSOV「Windcat Rotterdam」は「Elevation Series」と呼ばれるタイプで、既存の船舶と比較して機能と柔軟性が向上した革新的な設計になっている。Windcatに掲載されている船体概要によると、全長89.39m、幅19.7m、喫水5.3m。120人分の宿泊設備を搭載しており、最大30日間の洋上作業が可能で技術者の快適な生活空間と必要なメンテナンス資材を提供。
推進装置は船首・船尾に各2基の出力1,800kWアジマススラスターを備え、DPSはDNVのDYNPOS(AUTR)ということなのでIMOでいうclass2相当の自動船位保持装置を搭載している。船首にアジマス2基というのは少し珍しい仕様なのかも。
船上から風力タービンなどへの昇降に使用するギャングウェイは、SMSTの動作補償機能の付いた「TAB-L2」を搭載。船上クレーンも同様にSMST製で「MCC-L」というタイプ。最大20トン吊りで動作補償機能の吊り上げ範囲は1トンから最大10トン。
「Elevation Series」の大きな特長として、水素とディーゼルのDF(dual fuel)エンジンを搭載している点が挙げられる。これは2021年に建造された水素動力CTV(Crew Transfer Vessel)の「HYDROCAT 48」に搭載されているDF(dual fuel)エンジンの技術が取り入れられているそうです。
船名 | Windcat Rotterdam |
総トン数 | 6,711トン |
長さ | 89.39m |
幅 | 19.7m |
深さ | 8m |
喫水 | 5.3m |
宿泊設備 | 120人 |
プロペラ | アジマススラスター 1,800kW×4基 |
DPS | DYNPOS (AUTR) (IMO class2 相当) |
搭載設備 | 長さ30mの3D動作補償ギャングウェイ 20トン吊りの3D動作補償クレーン ヘリパッド |
船籍 | ベルギー |
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