Maerskの風力設置船で1,900トン吊りメインクレーン設置
Maersk Offshore Windは、シンガポールのSeatriumで建造している風力設置船(WIV,Wind Installation Vessel)でメインクレーンの設置作業がおこなわれたことを発表しました。
Maersk Offshore WindがLinkedInに投稿した動画によると、メインクレーンの搭載がおこなわれたのは2025年5月4日。1,900トン吊りのメインクレーンブームは、長さ167m。
建造中の風力設置船はアメリカのジョーンズ法に対応した機能を搭載している珍しい仕様となっており、2025年内に引き渡しがおこなわれる予定。
メインクレーンの設置作業をおこなった起重機船は3,600トン吊りの「L-3601」。ABS(American Bureau of Shipping:アメリカ船級協会)に登録されている情報によると、所有会社はSeatrium、船体寸法は長さ105.6m、幅46m、深さ7.5m。2012年に引き渡しがおこなわれた起重機船「L-3601」は、日本のジャパン マリンユナイテッド(当時はIHI MU)で建造。
メインクレーンはインドネシアのバタム島で製造


出典:GustoMSC
NOV傘下のGustoMSCが設計したメインクレーンは、インドネシアのバタム島北部にあるNOV Profabで製造。メインクレーンの旋回体、Aフレーム、ブームはバタム島からシンガポール海峡を挟んで対岸にあるSeatriumへ輸送台船を使用して運搬。
GustoMSCがLinkedInに掲載している情報ではクレーンの特徴として、作業半径35.8mで吊り上げ能力2,000トンと記載されており、Maersk Offshore Windの1,900トン吊りという情報とは少し異なっていました。この100トンの差は、もしかするとフックブロックの重量を含む ”定格総荷重” と含まない ”定格荷重” の差なのかもしれません。

Maersk Offshore Windの風力設置船

船名 | 未発表 |
クレーン能力 | 1,900トン |
揚程 | 180m |
長さ | 145m |
幅 | 83.2m |
深さ | 11m |
レグ長さ | 118m |
スラスター | アジマス 4,300kW×6基 トンネル 900kW×2基 |
DPS | DP2 |
速力 | 7ノット |
甲板面積 | 4,000m2 |
甲板強度 | 7.5トン/m2 |
宿泊設備 | 100人 |
船籍 | デンマーク |
風力設置船の船体寸法は長さ145m、幅83.2m、深さ11m。メインクレーンの最大吊り上げ能力は1,900トンで揚程180m(甲板上)のメインフックに加え、揚程190mの300トン吊り補助フックを備えている。
ジョーンズ法に対応するための機能として大きな特長の1つである船尾側に設けられた切り欠き部分には、専用船で輸送した部材を荷受けするためのトレイ昇降設備があり、貨物昇降時の最大重量は5,000トン。さらに、荷受け時に波浪の影響を受ける輸送台船を下に押し込んで船体動揺を低減するジャッキが4基設置されている。ジャッキのストロークは2m、押し込み容量は9,200トン(アクティブ)、14,400トン(パッシブ)。
- 貨物昇降時の最大重量:5,000トン
- バージ押し込み量:2m
- 押し込み容量:9,200トン(アクティブ)、14,400トン(パッシブ)
- ジャッキ数:4基
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