水深50mの海底に沈んだ掃海艇「うくしま」船体引き揚げ
2025年6月7日、航行中に起きた火災で沈没した掃海艇「うくしま」の船体が水深約50mの海底から引き揚げられました。
掃海艇「うくしま」で沈没の原因となる火災が発生したのは、2024年11月10日。福岡県宗像市の大島から北へおよそ2.3km沖合を航行していた掃海艇「うくしま」で発生した火災は一度鎮火したかのように思われましたが、その後再び出火し、翌日の11月11日に沈没。乗組員は別の掃海艇「とよしま」に避難しましたが、行方不明となっていた乗組員1名が死亡。
深田サルベージ建設が所有する3,000トン吊り起重機船「富士」によって海底から水面付近まで引き揚げられた掃海艇「うくしま」の船体は、家島建設のフローティングドック(FD)「はるかV」に搭載して海面上へ引き揚げられました。FD「はるかV」は船体下部が4.2m、両舷に立っている壁の高さは15.5mあり、全体の船体深さは19.7m。半潜水時の最大喫水は18.7m(甲板深度14.5m)ですが、作業の様子を映した映像によると、掃海艇「うくしま」を搭載した時の喫水は14.2m(甲板深度10m)程度だったようです。
引き揚げられた掃海艇「うくしま」の船体は船底が上になっており、ひっくり返った状態。FD「はるかV」の甲板上には、搭載位置を誘導するガイド材を設置。さらに、掃海艇「うくしま」の船体後方部分を載せる位置には、気中に露出した船体から流出する油脂類を最小限に抑えるためのコーミングが設けられていました。
引き揚げた船体はフローティングドックで山口県下関市の港に運ばれ、別の台船に載せ替えたあと、長崎県の佐世保港に運搬・陸揚げする計画。
沈没してからおよそ7カ月後に引き揚げられた掃海艇「うくしま」。出火原因は今のところ不明ですが、船体後方にあるエンジンから出火したとみられていて、海上自衛隊は今後、火災が起きた原因を詳しく調べるという。
掃海艇「うくしま」火災・沈没および船体引き揚げのタイムライン
- 2024年
11月10日鹿児島県の志布志港へ向けて下関基地を出港 - 10日 09:40福岡県宗像市の大島沖で火災発生
- 14時前一度、火災は鎮火したかのように思われたが、その後再び出火
乗組員は別の掃海艇「とよしま」に避難、その際に乗組員1名が行方不明となる
- 11日 0時過ぎ転覆
- 8時半過ぎ沈没
- 12月25日掃海艇「うくしま」の沈没海域で船体の周辺から人骨らしきものを発見
- 27日発見された人骨をDNA鑑定した結果、行方不明であった掃海艇「うくしま」乗員のものであることが判明
- 2025年
6月7日掃海艇「うくしま」の船体引き揚げ起重機船「富士」により海面付近まで引き揚げられた船体をフローティングドック「はるかV」へ搭載して引き揚げ
掃海艇「うくしま」
船名 | うくしま |
排水量 | 510トン(基準) 590トン(満載) |
長さ | 54m |
幅 | 9.4m |
深さ | 4.2m |
建造年 | 2003年3月 |
3,000トン吊り起重機船「富士」
船名 | 富士 |
クレーン能力 | 3,000トン |
長さ | 105m |
幅 | 46m |
深さ | 8m |
建造年 | 2003年9月 |

出典:FUKADA SALVAGE & MARINE WORKS
フローティングドック「はるかV」
船名 | はるかV |
長さ | 56m |
幅 | 32m |
深さ | 19.7m 台船:4.2m 壁:15.5m |
最大喫水 | 18.7m |
最大甲板深度 | 14.5m |
甲板強度 | 13トン/m2 |
搭載クレーン | 12トン吊り×2基 |
建造年 | 1991年6月 |

出典:Ieshima Construction
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