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室戸岬沖で漁船とタンカーが衝突、漁船は半沈状態で漂流

室戸岬沖で漁船とタンカーが衝突、漁船は半沈状態で漂流 事件・事故
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室戸岬沖で漁船とタンカーが衝突、漁船は半沈状態で漂流

2023年9月9日 午前7時30分頃、高知県室戸岬のおよそ6km沖合でタンカーと漁船が衝突する事故が発生。衝突により漁船の船体が割れ、横倒しで半沈状態になり漂流しているという。漁船の乗組員2人は付近の漁船に救助され、いずれも無事。タンカーの乗組員7人にもケガは無く、報道されている情報によると油の流出は確認されていないということですが、小さな漁船(総トン数8.5トン、長さ12m)とはいえ、沈みかかっている船体から燃料油が流出するのは時間の問題かもしれない。

9月9日9時30分に第五管区海上保安本部から室戸岬沖で無人船(長さ12メートル)が漂流しているという航行船舶への注意喚起を呼びかける緊急情報が発表されています。

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漁船はサンゴ漁のため沖合の漁場へ向かっていた

報道されている情報によると、タンカーと衝突した漁船「天龍丸」はサンゴ漁に向かっていたという。総トン数8.5トン、長さ12mの小さな漁船が衝突したタンカー「白鳳丸」の全長は74.5m。

タンカー「白鳳丸」は、山口県の徳山下松港を出港し、三重県の四日市港へ向かっていた。衝突事故が起きたのは朝7時30分頃なので陽は昇っており明るい状態。特に荒天だったということも無いので恐らく衝突原因は、前方不注意と相手船が避けてくれるだろうという期待に起因している可能性が高い。

船名白鳳丸
総トン数748トン
載貨重量トン2,125トン
長さ74.5m
11.6m
建造年2000年
タンカー「白鳳丸」
出典:MarineTraffic | KATSUMI YAMAMOTO

2021年には貨物船と漁船の衝突により死亡事故が発生

今回の事故では幸いなことに漁船の乗組員2人は無事でしたが、同じ海域で2年前に起きた貨物船と漁船の衝突事故では、漁船の乗組員1人が亡くなっている。

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2021年11月に起きた貨物船と漁船の衝突事故

2021年11月3日 午前5時44分頃、高知県室戸岬から南へ約7km沖で貨物船「碧南丸」と漁船「神龍丸」が衝突する事故が発生。

事故当時、貨物船「碧南丸」は、山口県徳山下松港を出港して愛知県衣浦港へ向け室戸岬沖を東へ向かっていた。一方で漁船「神龍丸」は、室戸岬港を出港してサンゴ漁をおこなうため室戸岬から南南東へ約7.5海里(約14km)沖にある小出ノ瀬こでのせと呼ばれる漁場へ向けて室戸岬沖を南東方向に航行していた。

事故が発生した場所や事故を起こした船舶が航行していた方向など、事故が起きた状況は今回の事故とほぼ同じ。同じ場所で同じような事故が繰り返し起きてしまう現実。どうにかして防ぐ方法は無いのでしょうか。

室戸岬沖では春と秋から冬にかけてサンゴ漁を操業

室戸岬沖の海域では、室戸岬灯台から南へ約2~9.5海里(約3.7~17.6km)の水深200mまでの範囲でサンゴ漁がおこなわれているそうです。操業期間は春と秋から冬にかけての2回、3月1日~5月31日の3ヶ月間と9月1日~12月31日の4カ月間で、操業時間は日の出から14時までになっているという。

サンゴ漁の操業区域
出典:「船舶事故調査報告書」(運輸安全委員会)(2023年2月16日公表)

船舶事故報告書による事故原因の分析

運輸安全委員会による船舶事故調査報告書では事故原因について以下の要因を挙げていいる。

事故原因
  • 貨物船の船長が漁船側が避けてくれると期待して、同じ針路及び速力で航行を続けたこと
  • 漁船の船長が自動操舵による針路調整のためにGPSプロッターに意識を向けて、同じ針路及び速力で航行を続け、前方確認を怠ったこと

漁船の接近に気付きながらも同じ針路で航行を続けた貨物船、周囲の確認を怠りGPSプロッターに意識を集中していた漁船。両船に回避する機会は十分あったように思えます。漁船の存在に気付いていた貨物船は、漁船への注意喚起として夜間であったため音響信号ではなく発光信号の方が有効と考え、漁船に向けて昼間信号灯による発光信号をおこなったものの、気付かせることが出来なかったという。

海上では右側通行、横切り船の場合は相手船を右に見る船舶に回避義務がある

海上衝突予防法
出典:海上保安庁

日本で陸上を走行する車両は左側通行ですが、海上では右側通航するのが万国共通のルール。海上衝突予防法で定められている横切り船のルールとして相手船を右に見る船舶、今回で言うと漁船側に回避義務があります。逆に、針路及び速力を保つ保持船にあたる貨物船側は横切り関係にある場合、やむを得ない場合を除き左転して避航することが禁じられている。

2年前に起きた事故と発生状況が類似している今回の事故では、事故の発生状況からすると漁船側に回避義務があり、過失割合が高いと言える。

しかし、2年前に起きた事故で貨物船側の再発防止対策として謳われているのは、海上衝突予防法上の保持船及び避航船を問わず、舵および機関を使用して早めに大きく回避することを乗組員に周知したという記載。結果として会社が違うから同じような事故が起きたということなのか、業界に水平展開という意識は無いのか。

さらに漁船側の方は、事故を起こした船長が所属する漁業協同組合のサンゴ漁船の複数の船長が各船でAISを搭載することとした、と書かれている。今回事故を起こした漁船がAISを搭載していたかどうかは不明。そもそも、周囲を確認せずに航行していた漁船事故に対する再発防止でAIS搭載して意味あるのか?AISを出力するモニターを漁船の船内に設置したという事なら少しは意味があるかも。ただ、自船の周囲を確認しない船長がAISのモニターを見るとは思えない。もっと根本的な原因に言及し、改善する必要がありそう。

結果として、今回も同じような事故が起きているのは事実。これまでの対策は効果が無いものとして改善しない限り、必ず同じ事故が再び起きる。

リンク先 運輸安全委員会 | 船舶事故調査報告書(貨物船碧南丸漁船神龍丸衝突)

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