オランダのSMSTは、マルコポーロ・マリンが建造しているCSOV船に動作補償機能が付いた伸縮式アクセスブリッジと5トン吊りクレーンの納入契約を締結したことを発表。
マルコポーロ・マリンの新造CSOV船にSMSTの伸縮通路などを搭載
2023年1月19日、オランダを拠点にしてオフショア向け揚重装置やギャングウェイなどの設計・製造を行うSMSTは、マルコポーロ・マリンが建造しているCSOV船に搭載する機器の納入契約締結を発表。搭載される機器は、カーゴタワーに伸縮式アクセスブリッジが付いたギャングウェイと5トン吊りクレーンで、どちらも動作補償機能を備えておりCSOV船から洋上風車への人員と貨物の安全な移動にはかかせない重要な設備。
建造中のCSOV船は、2024年第1四半期末までに完成する予定。
このCSOV船に関して、2022年12月にマルコポーロ・マリンの子会社で台湾を拠点とするPKR OffshoreとVestas Taiwanとの間で3年間のチャーター契約に関する覚書を締結している。
納入される搭載機器について
納入されるSMSTの機器は大きく分けて2つ。カーゴタワーとギャングウェイと呼ばれる伸縮式アクセスブリッジがセットになっている「Access & Cargo Tower」と3D動作補償機能が付いた5トン吊りクレーンの「3D Motion Compensated Cranes」。それぞれ使用時の最大有義波高は4.5mで設計されている。
「Access & Cargo Tower」について
「Access & Cargo Tower」は、カーゴタワーと伸縮式アクセスブリッジが一体化した船舶から洋上風車へのアクセス通路で、人員と物品の移動を安全に、そして効率的に行う上で必要となる重要な設備。
カーゴタワーは無段階に調整可能なエレベーターが備えられており、対象物の高さに応じてアクセスブリッジの高さを調整可能。伸縮式アクセスブリッジは、長さによってサイズが分かれていて今回納入予定のものは15m~30mに長さの調整が可能なLサイズ。
サイズ | S | M | L | XL |
長さ | 4-12m | 13-21m | 15-30m | 28-58m |
「3D Motion Compensated Cranes」について
サイズ | M | L | XL |
最大吊上げ容量 | 10t | 20t | 40t |
3Dアクティブ動作補償 | 1-5t | 1-10t | 5-20t |
「3D Motion Compensated Cranes」もCSOV船には必要な重要設備の1つ。必要資材を揚重するほとんどの場合、洋上風車側の荷受けスペースは限られた狭いスペースのみ。動作補償機能が付いたクレーンは、波の影響を受ける洋上において船の動揺を排除し、安全に作業することが出来る。
今回納入予定のクレーンは、動作補償機能を作動させた状態で5トン吊りということなのでMサイズ。クレーンの最大吊上げ重量は10トン、形状は折りたたみ式のナックルブームクレーン(Knuckle Boom Cranes)と呼ばれるタイプ。Knuckle=指の関節という意味。
中国で建造中のSOV船にも機器を納入
2022年7月にオランダのSMSTは、中国初となる洋上風力発電所向けのSOV船へ「Access & Cargo Tower」を納入することを発表している。SOV船完成イメージではナックルブームクレーンも搭載されていますが、SMSTの記事には記載が無かったので別のメーカーなのかも。
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