オランダのロッテルダムで行われているSEP起重機船「Aeolus」の大規模アップグレードで長さ133mのクレーンブームが設置されました。設置作業を行うのは、先日HEBOがBoskalisから買い取った2,200トン吊り起重機船「HEBO LIFT 10」。
SEP船「Aeolus」アップグレード 133mのブーム設置
![](https://crane1000.com/wp-content/uploads/2023/01/upgraded-sep-crane-vessel-aeolus-installed-133m-boom-01.jpg)
オランダのロッテルダムにあるDamen Shipyardで行われているVan Oordが所有する1,600トン吊りSEP起重機船「Aeolus」の大規模アップグレード。吊り上げ能力は1,600トンを維持したまま、揚程を増加させるため、長さ133mのクレーンブーム設置が行われました。
2022年9月にVan OordはSEP起重機船「Aeolus」のアップグレードをアナウンスしており、2023年初頭に完了すると発表していた。このアップグレードにより12MW~15MWの洋上風車設置が可能となる。
![SEP船「Aeolus」アップグレード 133mのブーム設置](https://crane1000.com/wp-content/uploads/2023/01/upgraded-sep-crane-vessel-aeolus-installed-133m-boom.jpg)
出典:Van Oord
設置作業を行うのは、2,200トン吊り起重機船「HEBO LIFT 10」。昨年12月にオランダの海事会社HEBOがBoskalisから買い取った起重機船ですが、映像を見ると船名はまだ「Taklift 4」のままのようです。
考えられたブーム設置の施工方法
何気なく見ると気付きませんが、先程の起重機船「HEBO LIFT 10」によるブーム設置方法は少しセオリーと違い、問題を解決るために工夫された方法が採用されています。
一般的なクレーンブームの設置方法は、搭載した後にブームをジブレストで受ける位置に設置します。
一般的なクレーンブーム設置方法
![](https://crane1000.com/wp-content/uploads/2023/01/upgraded-sep-crane-vessel-aeolus-installed-133m-boom-02.jpg)
出典:Van Oord
![](https://crane1000.com/wp-content/uploads/2023/01/upgraded-sep-crane-vessel-aeolus-installed-133m-boom-03.jpg)
出典:Fred. Olsen Windcarrier
今回行われた「Aeolus」のクレーンブーム設置では自船と逆方向に旋回した位置で搭載作業を行っています。このような方法で設置した理由として、使用する起重機船の揚程では「Aeolus」のレグを超えられないからだと思われる。設置するのがクレーンベースやAフレームなどを含む一体化したクレーンではなく、ブームだけだった事もこの方法が採用された理由の1つ。
ただ、この方法で設置を行うとブームを支えるジブレストが無いので起重機船の玉掛けを外すことが出来ない。この問題をどう解決しているのか?
![](https://crane1000.com/wp-content/uploads/2023/01/upgraded-sep-crane-vessel-aeolus-installed-133m-boom-04.jpg)
なるほど。ジブレストの代用として鋼製の架台を用意してました。細部は見えないので分かりませんが走行レール上を移動できるような仕様になっているようにも見えます。今回が初めてなのか、以前から行っている方法なのかは不明ですが、よく考えられた方法で良いアイディアだなと感心しました。
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