座礁していたフェリー「MARCO POLO」離礁に成功


出典:The Swedish Coast Guard
2023年11月1日、スウェーデン南部のバルト海で座礁した全長約150mのフェリー「MARCO POLO」を再浮上させる作業がおこなわれ、離礁に成功。作業は朝7時から開始され、7時45分に船体が再浮上したという。その後、フェリー「MARCO POLO」の前後に配置したタグボートにより船体を制御した状態で座礁位置から南東へ約1海里の場所へ曳航。9時20分に水深が確保された仮停泊場所へ到着し、フェリー「MARCO POLO」の自船アンカーを投錨して係留。
フェリー「MARCO POLO」を再浮上させた方法については、”By pressurizing parts of the breached void spaces”(破れたボイドスペースの一部を加圧することで)という説明がされており、船内区画と船体外板の間の空間を指すボイドスペース(void spaces)に圧縮空気を送って座礁した船体を浮上させたとみられる。
翌日にはカールスハムン港へ曳航
再浮上して仮停泊場所へ移動したフェリー「MARCO POLO」は、そこで再び船体全体の破損状況を確認するため、潜水調査を実施。
以前の計画では、そこで破損していないタンクに積まれた燃料の抜き取りをおこなう予定でした。しかし、11月2日午前7時(現地時間)に更新されたTT-Lineの掲載情報によると、フェリー「MARCO POLO」をカールスハムン港へ曳航した後に健全な燃料タンクに残る300トン以上の重油抜き取り作業をおこなうという予定に変更されています。潜水調査の結果、想定よりも船体ダメージが少なく、燃料の抜き取りは港内への曳航後で大丈夫という判断がされたのかもしれません。
ゆっくりした速度でカールスハムン港へ曳航完了
現時点で、11月2日午前7時の更新情報が最新なので以降の詳細は不明ですが、フェリー「MARCO POLO」のAIS情報によると11月2日午前9時頃から曳航を開始して、2~3ノットというゆっくりした速度で曳航。2時間後の午前11時頃にカールスハムン港に無事到着しています。
さしあたり事態の悪化や大きな環境被害につながる状況は解消されたように思いますが、気になるのはそもそものフェリー「MARCO POLO」が座礁した原因について。事故当時、海域は濃霧だったという情報もあり、どのような要因が引き金となって座礁事故が発生したのか究明する必要がありそうです。
フェリー「MARCO POLO」座礁事故発生からの経緯

- 10月22日フェリー「MARCO POLO」座礁事故発生
事故後、乗客全員とホテル部門の乗組員8名が下船。21名の乗組員が船に残り座礁事故に対応。
- 10月23日SMITおよびTT-Lineの技術チームが乗船
タグボート2隻が現場到着。さらに燃料などの油抜き取り手配がおこなわれ喫水の小さいバンカー船2隻が10月26日、27日に到着予定。
- 10月24日SMIT社と契約締結
- 10月28日午後2時、破損したタンクから燃料抜き取り開始
バンカー船「Tresfjord」による燃料油抜き取り
- 10月29日悪天候による波浪で座礁していた船が動き油流出
悪天候による波浪で12時15分に船体が動き始め、14時30分に停止。座礁時に破損していたタンクから燃料油が流出、健全だったタンクは変わらず破損無し。燃料抜き取り作業は荒天前の28日午後に中止されていた。
- 10月31日11月1日に浮上曳航する計画を作成
週後半に悪天候の予報が出ているため、11月1日に船体を浮上させて約1海里南東にある停泊場所へ曳航し、破損していないタンクに残る燃料を抜き取る作業を計画。
- 11月1日船体浮上および離礁に成功
離礁後、座礁位置から南東へ約1海里の場所へ曳航し船体の潜水調査を実施
- 11月2日カールスハムン港へ曳航完了
リンク先 TT-Line | Updated information regarding Marco Polo
フェリー「MARCO POLO」の概要
船名 | MARCO POLO |
総トン数 | 16,130トン |
長さ | 150.43m |
幅 | 23.4m |
旅客定員 | 215人 |
速力 | 18ノット |
建造年 | 1993年 |

出典:TT-Line
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