SEP船など洋上風力向け大型クレーン船3隻が同じ日に進水
三艘同日下水!中国船级社技术护航海上重器
(3隻同時進水! 中国船級協会の技術が海上で大型船をエスコート)
https://www.ccs.org.cn/ccswz/articleDetail?id=202304190189001177&columnId=201900002000000096
2023年4月18日、上海振华重工(ZPMC)が中交第三航務工程局有限公司(CCCC Third Harbour Engineering)向けに建造しているSEP起重機船2隻と大型クレーン船1隻の進水式が同じ日に行われました。建造場所は、上海振華重工啓東海洋工程股彬有限公司と靖江南洋船舶制造有限公司の2箇所に分かれており、進水式の様子はビデオリンクを通じて映像を共有したそうです。
建造している3隻のうち2隻はSEP起重機船で、搭載されているクレーン能力は1,800トンと2,500トン。もう1隻は4,000トン吊りのクレーン船。3隻とも洋上風力発電所建設が目的で、全船にDP-2の自動船位保持装置が搭載されている。
「海峰2001」 4,000トン吊りクレーン船
船名 | 海峰2001 |
クレーン能力 | 4,000t(固定) 3,000t(旋回) |
長さ | 195m |
幅 | 46.9m |
深さ | 16m |
DPS | DP-2 |
全長195mの船体に搭載されているクレーンは、固定吊りで最大4,000トン、旋回3,000トンの能力。自航式でDP-2の自動船位保持装置に加え、ウインチによる8点係留設備も搭載している。
SEP起重機船ではないので、主に15MWを超える風力タービン基礎のモノパイルやジャケットなど各種基礎工事および洋上変電所の設置に使用されるという。
「海峰1001」 2,500トン吊りSEP起重機船
SEP起重機船「海峰1001」(HAI FENG 1001)は全長133.8m、幅50m、深さ11m。搭載されているクレーンは、LEC(Leg Encircling Crane)を採用した2,500トン吊りのメインクレーンと380トン吊りの補助クレーン。
日本が誇る清水建設のSEP起重機船「BLUE WIND」とクレーン能力は同じ。船体寸法も少し「BLUE WIND」の方が大きいですがほぼ同じ。自船の甲板に積載できる風力タービン資材は「海峰1001」が15MWの資材2基分に対して「BLUE WIND」は12MWの資材3基分。出力が違うので何とも言えませんが、甲板面積がほぼ同じなので同程度でしょう。
それにしてもこのクラスのSEP起重機船をサクッと建造する中国。最近はさらに建造ラッシュに拍車がかかり、把握することすら難しい状況。日本だけではなく、ヨーロッパ諸国と比べても層の厚さが桁違い。
船名 | 海峰1001 |
クレーン能力 | 2,500トン(メイン) 380トン(補助) |
長さ | 133.8m |
幅 | 50m |
深さ | 11m |
プロペラ | アジマス 3,000kW×3(船尾) バウ 2,500kW×3(船首) |
航行速力 | 9ノット |
レグ長さ | 不明 |
最大作業水深 | 70m |
宿泊設備 | 120人 |
DPS | DP-2 |
「海峰1002」 1,800トン吊りSEP起重機船
SEP起重機船「海峰1002」(HAI FENG 1002)に搭載されるクレーンは、1,800トン吊りと380トン吊りの補助クレーン。船体寸法などレグ長さ以外は、なぜかほぼ不明。調査不足なだけかもしれませんが。
ただひとつ気になる点というか、変わった仕様を発見。進水前の👆の画像を見ると分かりますが、補助クレーンのジブレストが船体の舷側から飛び出した状態で、メインクレーンのポストから張り出した台に設置されているという点。
これは施工的にマイナス要因になりそう。LECを採用したSEP起重機船で施工する場合、基礎の施工ならクレーン能力、風力タービンの施工なら揚程を最大限に活かす為に出来るだけ吊り上げ位置に近づいた状態でジャッキアップしますが、まさに張り出した補助クレーンのジブレストがある位置付近に設置する風力タービンがくるはずなので非常に邪魔になると思われる。最終的な施工位置で干渉しなくてもジャッキアップ前の位置合わせをする時は気を遣うハメになりそう。
船名 | 海峰1002 |
クレーン能力 | 1,800トン(メイン) 380トン(補助) |
長さ | 不明 |
幅 | 不明 |
深さ | 不明 |
プロペラ | 不明 |
航行速力 | 不明 |
レグ長さ | 130m |
最大作業水深 | 不明 |
宿泊設備 | 不明 |
DPS | DP-2 |
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