2025年に設置予定 1.5MWの海洋温度差発電「Dominique」
GLOBAL OTEC GETS FIRST CERTIFICATE OF APPROVAL OF A COLD-WATER RISER INSTALLATION FOR AN OTEC PLATFORM
(GLOBAL OTEC は、OTEC プラットフォームへの冷水ライザーの設置の最初の承認証明書を取得します)
https://globalotec.co/news/2023/04/19/global-otec-gets-first-certificate-of-approval-of-a-cold-water-riser-installation-for-an-otec-platform/
2023年4月19日、英国に本拠を置くGlobal OTECは商用規模の海洋温度差発電(OTEC)をおこなうプラットフォームを構築する上で必要となる冷水ライザーの設置方法について、ABL Groupより承認証明書(Certificate of Approval)が発行されたことを発表。
Global OTECは、商用規模のOTECシステムとなる1.5MWのフローティングプラットフォーム「Dominique」を設計し、2025年にアフリカのサントメ・プリンシペ(São Tomé e Príncipe)で設置が行われる予定。
海洋温度差発電(OTEC)について
<海洋温度差発電のしくみ>
- 暖かい表層海水を取り込む(約26℃)
- 沸点の低い作動流体を蒸発させる
- 蒸気でタービンを駆動して発電
- 冷たい深層海水を取り込む(約4℃)
- 作動流体を冷やして液体に戻す
- 発電した電力をケーブルで送電する
※タービンを駆動する作動流体には、沸点の低いアンモニアなどの媒体が用いられる
海洋温度差発電のしくみや概念図を見ると、深層海水を汲み上げることがシステム全体を成立させるために重要であることが分かる。それと同時に、1,000mの深海から海水を汲み上げる事は他の要素に比べて難易度が非常に高い。どの程度の量が必要かは分かりませんが、大量ではなくても大変そう。
今回発表された ”冷水ライザーの設置方法” について掲載記事でも、海洋温度差発電(OTEC)プラットフォームを構築するための重要なマイルストーンを達成したという記載にも納得できる。何をどのようにして深層海水を汲み上げるのかは全く記載されていないので不明。
海洋温度差発電(OTEC)運用には海洋温度差20℃以上必要
Global OTECは掲載記事の中で海洋温度差発電技術が運用できるのは、主に熱帯の赤道付近で年間の海水温度差は最低でも20℃以上必要と述べている。運用可能な場所を示したマップを見ると日本も入っていますが、該当するのは緯度の低い沖縄周辺。
実際の運用を考える。水深1,000mから深層海水を汲み上げるとなると電力を消費する陸上からはるか沖合に発電プラットフォームを設置する必要があり、浮体の係留方法や送電ケーブルの敷設などを考慮すると商用規模にしても採算が全く取れない気がする。陸上への送電が必要ない洋上設備で消費する電力としてならば活路が見いだせるのかも。
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