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世界最大級のバイブロハンマー完成間近、重量は425トン

世界最大級のバイブロハンマー完成間近、重量は425トン 建設機械・機器

 Dieseko Groupが製造している世界最大級のバイブロハンマー「GIANT 2000」。重量425トン、偏心モーメントは2,000kgmで最大1,200トンのXXLモノパイル打設が可能。完成に向けた各種の最終テストを実施中。

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世界最大級のバイブロハンマー「GIANT 2000」

世界最大級のバイブロハンマー「GIANT 2000」
出典:Dieseko Group

 見るからに巨大なバイブロハンマー「GIANT 2000」。縦横高さの寸法は10m×10m×10m、重量425トン、偏心モーメントは2,000kgm、起振力は44,000kN(4,487tf)。杭を保持するチャックは16カ所あり、最大1,200トンのXXLモノパイルを打設することが出来るそうです。ただ、XXLモノパイルは直径8m~11mの範囲ですが、「GIANT 2000」が保持できる杭径は最大で6m。モノパイル天端の杭径が最大径よりも細くなっているから大丈夫という事なんですかね。

 バイブロの振動する本体部分は新製品という訳ではなく、「PVE 500M」というバイブロハンマーを4台使用しているようです。連動させるシステムやUpending構造の専用吊具は「GIANT 2000」のために製作されたもの。

 予定では2024年以降にレンタル可能になるそうです。

モノパイル建て起こしが出来るUpending構造

 「GIANT 2000」には、Upendingと呼ばれる輸送時は横に倒した状態のモノパイルをチャッキングして建て起こす操作が出来るように、吊り上げる部分とチャック部分がピン構造で回転する仕様になっている。

 鋼管杭をバイブロハンマーで打設する時は、杭を保持するために玉掛けの代わりにチャックと呼ばれる爪を油圧の力で挟み込んで鋼管天端を掴みますが、施工中にその部分でトラブルが起こることがあります。チャックの部分にどのような工夫が施されているのか気になりますが、詳細は分かりませんでした。

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パイルランのリスク低減

 鋼管杭やモノパイルと呼ばれる大口径の杭を打設する時に洋上風力タービン基礎の施工で使用されるのはバイブロハンマーよりも油圧ハンマーの方が多いような気がします。「石狩湾新港洋上風力発電施設」のジャケット基礎杭打設のように両方使用されることもありますが、バイブロハンマー「GIANT 2000」の特徴や使用するメリットとしてDieseko Groupは以下の点を挙げています。

バイブロハンマー「GIANT 2000」の特徴
  • 世界最大のバイブロハンマー
  • XXLモノパイルの建て起こし、打設、引き抜きに対応
  • 最大杭径6mまで対応可能
  • 低騒音
  • 鋼管疲労が少ない
  • パイルランリスクの低減

 バイブロハンマーと油圧ハンマーの大きな違いの1つとしてバイブロハンマーは杭を引き抜くことが出来るという点が挙げられます。打設する杭の位置や鉛直度がズレてしまった時に引き抜いて再度調整することが出来ますが、油圧ハンマーではできません。そして、油圧ハンマーは杭の上に載せているだけの状態で打撃を行いますが、バイブロハンマーはチャッキングによって打設する杭を保持しているのでパイルランと呼ばれる現象が起きた時のリスクを低減させることが出来ます。

 パイルランとは、自沈と呼ばれる鋼管杭の自重だけで杭が沈下していくような硬くない地盤の層が最終的に打設する深度より上にある場合、その深度まで打設が進むと急に杭が落下するように沈下するという現象。油圧ハンマーで施工中にこの現象が起きると杭の上に載せているだけなので杭の動きを制御することが出来ず、事故につながることがある。バイブロハンマーによる施工中も杭の上に荷重を預けますが、パイルランが起こりそうな深度を打設する時にチャッキングで杭を保持しているので預ける荷重を調整してリスクを回避することが可能。

👇実際に、台湾で施工中にパイルランで事故が起きた時の動画。

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Calvados Offshore Wind Farmで「SAIPEM 3000」が使用

2021年12月9日発表 Dieseko Groupのプレスリリース

Dieseko supplies world’s largest Vibratory Hammer to Saipem

(Dieseko は世界最大の振動ハンマーを Saipem に供給)

https://www.diesekogroup.com/dieseko-supplies-worlds-largest-vibratory-hammer/

 Dieseko Groupは、2021年12月発表のプレスリリースで偏心モーメント2,000kgmのバイブロハンマーをSAIPEMに供給することを発表しています。巨大なバイブロハンマーを使用するプロジェクトは、フランスで建設中の洋上風力発電所 Calvados Offshore Wind Farm (Courseulles-sur-Mer)。

Calvados Offshore Wind Farm (Courseulles-sur-Mer)の概要
  • 設置位置:フランス Courulles-sur-Merの北約15kmのセーヌ湾、水深22m~31m
  • 発電容量:Siemens Gamesa SWT-7.0-154、7 MW×64基=448MW
  • 風車基礎:着床式、モノパイル
  • 風車形状:出力7MW、ローター直径 154m、ブレード長さ 75m、受風面積18,600m2
  • 運転開始予定:2025年

 そして、SAIPEMの掲載記事を確認すると、巨大なバイブロハンマーを使用してモノパイル設置作業を行うのは、2,177トン吊りクレーン船「SAIPEM 3000」の予定。

2021年2月1日発表 SAIPEMのプレスリリース

SAIPEM: AWARDED NEW CONTRACT IN THE RENEWABLE ENERGY SECTOR IN FRANCE

(SAIPEM:フランスの再生可能エネルギー部門で新規契約を獲得)

https://www.saipem.com/en/media/press-releases/2021-02-01/saipem-awarded-new-contract-renewable-energy-sector-france

 Calvados Offshore Wind Farmのウェブページに掲載されているプロジェクトの概要動画でモノパイル打設を行っているのも「SAIPEM 3000」でした。上部の風力タービン設置は、先日1,600トン吊りクレーンへのアップグレードを行ったDEMEのSEP起重機船「Sea Installer」。

Youtube掲載の概要動画リンク先 Parc éolien en mer du Calvados | EDF Renouvelables

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世界のサルベージ オペレーション

来島海峡で水深60mの海底に沈んだ全長約170mの「白虎」引き揚げをはじめ、日本国内でも多くのサルベージオペレーションがおこなわれています。
世界各地で実施されている困難なサルベージの数々を紹介。

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SEP起重機船 世界ランキング 2023

世界的な再生可能エネルギーへの転換に伴い、洋上風力発電の建設は勢いを増すばかり。
風力タービン設置の専用船ともいうべきSEP起重機船も数多く建造され、大型化する洋上風車に対応するべく既存船アップグレードがおこなわれている。
世界のSEP起重機船56隻のランキングに加えて新造船22隻の建造情報を一覧で紹介。

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