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半潜水式バージ「四航永興」完成、分割した船体を進水後に一体化

半潜水式バージ「四航永興」完成、分割した船体を進水後に一体化 船舶
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半潜水式バージ「四航永興」完成・引き渡し

DWT45,000トン 半潜水式バージ「四航永興」(SI HANG YONG XING)
出典:China Classification Society

2023年8月25日、中交第四航務工程局有限公司(CCCC Fourth Harbour Engineering)傘下の江門航通船業有限公司が建造した半潜水式バージ「四航永興」(SI HANG YONG XING)が完成し、引き渡しがおこなわれました。2021年3月に建造が開始され、完成までに2年以上かかっている。

中国の報道記事では引き渡し先について書かれていませんでしたが、中国船級社(China Classification Society)の登録情報をみると船主及び管理会社は、中交四航局で登録されています。

船体4隅にあるアイランドと呼ばれる甲板上の設備は、船尾側の2つが非固定式となっており必要に応じて油圧ジャッキやスライドレール装置により移動することが可能で、大型貨物の積載に対応。どちらが船の船首・船尾なのか分かりにくいですけど、👆上の画像で言うと左側のアイランドに何本か煙突のようなものが見えるので、左側が固定式の船首、右側が非固定式の船尾だと思われる。

半潜水式バージ「四航永興」のDWT(載貨重量トン数)は、47,506トン。全長164m、幅65m、深さ10.2m。推進装置は搭載されていないため非自航式。最大潜水深度については26.8m、これは恐らく甲板深度ではなく最大潜水時の喫水を意味していると思われる。

半潜水式バージ「四航永興」の大きな特徴は、巨大な甲板スペースと非自航式ならではの小さな喫水。水深の浅い港や河口でも喫水が小さいので作業が可能になるという。使用用途としては、ケーソン製作時の進水プラットフォームとして使用する他にも、海底トンネル建設時の沈埋函や洋上大型設備の輸送などで使用される予定。

船名四航永興
(SI HANG YONG XING)
総トン数40,921トン
載貨重量トン数47,506トン
長さ164m
65m
深さ10.2m
最大潜水深度26.8m
半潜水式バージ「四航永興」の概要
載荷重量トン数、DWTとは?

載貨重量トン数DWT(Deadweight tonnage)とは、満載喫水線の限度まで貨物を積載したときの全重量から船舶自体の重量を差し引いたトン数のことを言い、船に積める貨物の量を示す目安となる。ただ、この中には運航に必要な燃料・水・食料などの重量も含まれているので純粋な貨物の積載重量ではない。

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巨大な船体は分割した状態で建造、進水後に一体化

ドッキングが完了した半潜水式バージの船体
出典:江门航通船业有限公司
完成した半潜水式バージ「四航永興」
出典:China Classification Society

驚くべきことに全長164mという巨大な船体は、分割して建造した船体を進水後に一体化するという方法が採用されています。

以前の記事でも紹介しましたが、奇抜な建造方法を採用した理由は造船所の設備に由来している。長さ164m、幅65mの巨大な船を一括で建造できる大きさのドックが無く、使用できるのは傾斜が付いた斜路をスライドさせて進水させる設備。そのスライド設備の使用荷重は重量12,000トンまでで、建造する半潜水式バージの船体重量は台船部分だけでも24,000トンになり、重量オーバーになるという問題があったそうです。

詳細なドッキング方法は不明ですが、浮かんでいる状態の船体を溶接する時の精度と強度を確保するために、特殊な溶接機を使用したり、開先の取り方が工夫されたという。無理難題に直面した時に対処する能力は中国でも日本でも万国共通で同じだと思いますが、技術者や職人の凄さを改めて感じます。

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