中国の山東省青島市で建造していた全長350mの巨大なフローティングドックが完成し、引き渡しが行われた。船体の色とドック側面に描かれているデザインが特徴的だったので調べると、どうやらロシアの造船所向けに建造されたようです。
中国で全長350m、10万トンのフローティングドックが完成
2022年11月21日、中国の山東省青島市にある青島北海船舶重工公司で全長350m、最大積載重量10万トンのフローティングドックが完成し、引き渡しが行われた。
長さ350mのフローティングドックには2台の50トン吊りクレーンが搭載されており、VLCC(Very Large Crude Carrier)など超大型船舶の修理を行う事も可能。
気になる船体のデザイン
船体の色とデザインが特徴的で、どこかで見たことあるんだけどなぁ~と思って”モヤモヤ”してましたが、解決。
2022年10月15日の記事で取り上げた3,500トン吊りのジブ固定式起重機船。この起重機船のデザイン、配色とそっくり。
前に取り上げた3,500トン吊りの起重機船もオーナー企業は不明でした。記事の中でオーナー企業の名前が記載されていない事はありますが、ほぼ建造が終わっている段階で船体に船名が書かれていないというのが不可解だったので少し気になっていました。
いろいろ調べるみると、どうやらロシアのズヴェズダ造船所(Дальневосточный завод «Звезда»)に引き渡されるようです。ズヴェズダ(Звезда)はロシア語で ”星” という意味があり、企業ロゴには赤い星がデザインされている。
今のご時世だとロシアに作業船を納品することは中国としても公にしたくないという事情があらわれているのでしょうか?
ズヴェズダ造船所
ロシアのウラジオストク(Владивосток)からピョートル大帝湾を挟んで東へ直線距離で40kmのボリショイ・カーメニにあるズヴェズダ造船所。第二次世界大戦後の1947年にソ連海軍の補助基地がボリショイ・カーメニに置かれ周囲に住宅が建設されたことが街の歴史の始まり。ロシア海軍太平洋艦隊の重要な施設があるという軍事上の理由から閉鎖都市となっている。
ズヴェズタ造船所は、沿海地方にある原子力潜水艦(原潜)の建造や修理、解体を行うことが出来る数少ない造船所のひとつ。
アムール造船所も原潜の建造などの能力があるが、内陸にあるアムール造船所に対してズヴェズタ造船所は沿岸部に位置することから、太平洋艦隊に所属する大半の原潜の修理や点検はズヴェズタ造船所で行われている。
2018年には4万トンのフローティングドックを引き渡し
4年前の2018年には今回と同じ中国の青島北海船舶重工公司で建造された全長300m、最大積載重量4万トンのフローティングドックがズヴェズタ造船所に引き渡されている。
このフローティングドック、中国からロシアまで曳航されてきたんでしょうか?自航式では無さそうだし曳航する以外に移動させる手段が他にないのでそうだと思いますけど。結構な距離があります。
巨大なフローティングドックはいつ曳航?
10万トン級のフローティングドックは完成しましたけど、これから冬になっていく時期に👆上の曳航経路を1,000マイルも曳航させることはほぼ不可能かも。2018年の4万トン級フローティングドックは、夏場に曳航を行い7月中旬くらいにロシアに到着しているようです。
無理にフローティングドックの曳航を強行して海難事故が起こるようなことだけはやめて欲しいですね。
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