オランダの洋上風力発電所内に浮体式洋上太陽光発電システム設置予定
NAUTICAL SUNRISE PROJECT TO FACILITATE R&D OF THE LARGEST OFFSHORE FLOATING SOLAR POWER PLANT IN THE WORLD
(世界最大の浮体式洋上太陽光発電所の研究開発を促進するノーティカル・サンライズ・プロジェクト)
https://solarduck.tech/nautical-sunrise-project-to-facilitate-rd-of-the-largest-offshore-floating-solar-power-plant-in-the-world/
オランダ海洋エネルギーセンター(DMEC,Dutch Marine Energy Centre)をはじめ、SolarDuck、RWEなどが参画するNAUTICAL SUNRISE PROJECTによる支援の下、オランダ沖のOranjeWind offshore wind farm(Hollandse Kust West VII)に5MWの浮体式洋上太陽光発電システム設置が計画されています。
Nautical SUNRISE projectは、事業資金840万ユーロ(約13.6億円)のうち、革新的な技術や研究を支援するEUの主要プログラムであるHorizon Europe programmeから680万ユーロ(約11億円)の支援を受けており、浮体式洋上太陽光発電システムとそれを構成する部品や要素の研究開発を実行するため、2023年12月に発足。将来的に独立または洋上風力発電所に統合された浮体式洋上太陽光発電システムの大規模導入と商業化が可能になるという。
プロジェクトでは、オランダのSolarDuckが開発しているモジュラーシステムを使用して、5MWの浮体式洋上太陽光発電システムを設計、構築、設置することを目的としている。RWEがプロジェクトに参画したことにより、同社が開発をおこなうオランダ沖のOranjeWind offshore wind farm(Hollandse Kust West VII)に統合された浮体式洋上太陽光発電システム設置を予定。
洋上での展開に先立ち、5MWの浮体式洋上太陽光発電システム設置により信頼性、耐久性、電気的安定性、発電量確保など広範囲に渡る研究とテストが実施され、包括的なスケールアップ計画への課題に対処し、浮体式洋上太陽光発電システムの商業化を推進する機会を創出するという。
Nautical SUNRISE Projectの参加メンバー
「OranjeWind」では様々な革新技術を採用する予定
RWEが開発計画を進める「OranjeWind offshore wind farm」は、オランダの海岸から53km沖合の北海に位置し、現段階の設置容量は800MW。
SolarDuckによる浮体式洋上太陽光発電システムの他にも新技術の商業応用を加速するため、優れた革新的企業や新興企業グループに実用的なプロジェクトで革新技術の対外的なアピールを兼ねた実演機会を提供するという。
Subsea pumped hydro storage power plant:Ocean Grazer
Subsea pumped hydro storage power plantとは、海底揚水電力貯蔵プラント。Ocean Grazerが開発するOcean Batteryと呼ばれる洋上風力タービンや洋上太陽光発電によって発電した電力を貯蔵する拡張性があるモジュール式ソリューションを用いる。
エネルギーを貯蔵する仕組みは、発電した電力によって硬い貯水タンクから海底の水圧を受ける柔軟なbladders(袋)へ水を汲み上げエネルギーを貯蔵、逆に水圧を利用してbladdersから貯水タンクへ水を送る時に複数の水力タービンを駆動・発電することでエネルギーを取り出すというもの。
Floating solar:SolarDuck
Intelligent Subsea Energy Storage:Verlume
VerlumeのIntelligent Subsea Energy Storageは、状況に応じたエネルギー管理の制御自動化を備えた海底のリチウムイオンバッテリーを通じて、多目的ストレージ ソリューションを提供。このバッテリーはモジュール式で拡張性の高い設計になっており、洋上でのピーク電力生産を削減することで、よりバランスのとれた電力出力につながるという。
風力タービンのブラック スタート機能、ハイブリッドまたは完全電気駆動船への充電および自律型潜水船(AUVs,Autonomous Underwater Vehicles)の常駐が可能になり、洋上風力発電所と関連物流のCO2排出量をさらに削減できるようになる。
LiDAR-based power forecasting:ForWind, University of Oldenburg
ドイツにあるオルデンブルク大学の風力エネルギー研究センターであるForWindが開発に関する提案をおこない、2022年のRWEイノベーション・コンペティションで優勝したそうです。
LiDAR-based power forecasting(LiDAR ベースの電力予測)は、LiDAR(Light Detection And Ranging)に基づく革新的な電力予測手法。短期間の風速の強い変動により突発的な発電量の変化を正確に予測することで系統の安定性をサポートし、将来のエネルギーシステムにおける風力発電の統合を大幅に改善する可能性があるという。
【関連】LiDARシステムを搭載したHuismanの突風検知システム「Wind Gust Buster」
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