ドイツ沖に設置する洋上HVDC変換所BorWin5がスペイン出港

DRAGADOS OFFSHOREは、BorWin5の洋上HVDC(High Voltage Direct Current:高圧直流送電)変換所がスペインのプエルト・レアル(Puerto Real)にある自社造船所を出港し、北海の最終設置場所に向けて航行を開始したと発表しました。
洋上HVDC変換所のジャケット及びトップサイドはAllseasの輸送台船「Iron Lady」(L×B×D:200m×57m×13m)に搭載されており、オランダのロッテルダムで「Pioneering Spirit」への積み替えがおこなわれるという。輸送期間は2週間で、さらに設置作業には2週間かかる見込み。
重量は、トップサイド 約12,000トン、ジャケット 約7,500トン。ジャケット基礎杭はSif Groupが製造しており、本数は14本、最大長さ62mで総重量は4,000トン(平均すると基礎杭1本あたりの重量は286トン)。
設置をおこなう「Pioneering Spirit」には3つの揚重設備が搭載されており、約12,000トンのトップサイド設置は最大容量48,000トンのトップサイドリフトシステム(TLS)を使用するものと思われます。ジャケット設置については、約7,500トンという重量に基礎杭が含まれているのかが不明ですが、揚程やアウトリーチを考えると5,000トン吊りの旋回クレーンでは施工が厳しそうなので、容量20,000トンのジャケットリフトシステム(JLS)を使用して設置作業をおこなうのではないでしょうか。
- 旋回クレーン 5,000トン
- ジャケットリフトシステム(JLS) 20,000トン
- トップサイドリフトシステム(TLS) 48,000トン → 60,000トンへアップグレード予定
輸送台船「Iron Lady」を曳航している「SKANDI LASER」のAIS情報

BorWin5のジャケット及びトップサイドを積んだ輸送台船「Iron Lady」を曳航する「SKANDI LASER」のAIS情報を確認すると、スペインのプエルト・レアルを2025年4月18日に出港し、4月22日の23:00時点でポルトガル沖を速力7.1ノットで航行していました。
ロッテルダムへの到着予定は4月29日。
余談ですが、「SKANDI LASER」のAIS情報を見ていると約70km西の位置に竣工したばかりのクルーズ船「飛鳥Ⅲ」を発見!「飛鳥Ⅲ」は、2025年4月12日にドイツのエムデンを出港し、ノルウェーのスクリスティアンサンへ寄港した後、スペイン・カナリア諸島のテネリフェへ向かっていました。寄港しながら日本へ向かってるんだと思います。

「Pioneering Spirit」

船名 | Pioneering Spirit |
総トン数 | 403,342トン |
長さ | 382m |
幅 | 124m |
スロット | 長さ:122m 幅:59m |
速力 | 14ノット |
宿泊設備 | 571人 |
トップサイドリフト容量 | 48,000トン |
ジャケットリフト容量 | 20,000トン |
搭載クレーン | 5,000トン |
船籍 | マルタ |
建造年 | 2014年 |
「SKANDI LASER」
船名 | SKANDI LASER |
総トン数 | 6,890トン |
長さ | 90.8m |
幅 | 23m |
深さ | 9.5m |
船籍 | デンマーク |
建造年 | 2010年7月 |

輸送台船「Iron Lady」
輸送台船「Iron Lady」の船体幅は57mとなっており、「Pioneering Spirit」でトップサイドリフトをおこなう時に使用するスロット幅59mに収まるよう設計されている。
船名 | Iron Lady |
載貨重量トン | 89,312トン |
長さ | 200m |
幅 | 57m |
深さ | 13m |

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